錦織圭、マイアミOP準優勝。王者ジョコビッチに勝つ術はあるのか

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 決勝終了直後、ベンチへ戻った錦織圭は頭を下に向けたまま微動だせず、全身が脱力感に襲われているかのようだった。それから顔を上げて、しばらく遠くに視線をやりながら、何か物思いにふけっているように見えた。その姿は王者ノバク・ジョコビッチに、全力でぶつかりながら跳ね返され、疲労感を伴った錦織の敗北を表していた。

準優勝という結果に表情もさえない錦織圭(左)準優勝という結果に表情もさえない錦織圭(左)

 錦織(ATPランキング6位、3月21日付け、以下同)は、マイアミオープン決勝で、
第1シードのノバク・ジョコビッチ(1位、セルビア)に、3-6、3-6で敗れて準優勝に終わり、マスターズ1000の初タイトルはお預けとなった。

 マイアミ大会での準優勝は、日本女子選手では1995年に伊達公子が成し遂げているが、日本男子選手では錦織が初めての快挙だった。
 
 試合は序盤から動いた。第1セット第1ゲームで、いきなり錦織がサービスブレークに成功したものの、第2ゲームですぐにブレークバックを許した。

「とても動きの速い圭のような選手に対して、もし0-2になっていたら、状況は少し違っていたかもしれない」と振り返るジョコビッチは第2ゲームのブレークによって、錦織をいい状態でプレーさせないようにした。それから5~6ゲーム後に、ジョコビッチは錦織のペースに慣れ始め、ストロークの深さや角度をコントロールして、錦織を走らせてミスを誘った。

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