錦織圭が今季最終戦で見せた2016年への「希望」と「課題」

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

「It was impressive(見事だった)」

 ロジャー・フェデラー(ATPランキング3位)が、7-5、4-6、6-4、2時間10分におよぶ戦いの末に破った錦織圭(8位)へ贈った最大級の賛辞だ。

 ATPワールドツアーファイナルズのラウンドロビン(総当たり戦、以下RR)の第2戦で、34歳のフェデラーは、現王者のノバク・ジョコビッチ(1位)をストレートで破り、彼の連勝を23で止め、元王者の意地を見せた。一方、錦織は、トマーシュ・ベルディヒ(6位)をフルセットで破り、2015年大会で初勝利を挙げ、徐々に調子を上げて、RR第3戦のフェデラーとの大一番に臨んだ。

ツアーファイナルズでフルセットの激戦を演じた錦織圭(左)とロジャー・フェデラーツアーファイナルズでフルセットの激戦を演じた錦織圭(左)とロジャー・フェデラー
 試合はファイナルセットまでもつれた。フェデラーが、第4ゲームで先にブレークして4-1とするが、第7ゲームで錦織がブレークバック。しかし、フェデラー5-4で迎えた第10ゲームの錦織のサービスで、40-30から、この日4本目となる痛恨のダブルフォールトでデュースとなり、そこからフェデラーが錦織を振り切った。第10ゲームのダブルフォールトはもちろん悔やまれるが、もし第3セット第3ゲームで、錦織が0-40から先にブレークできていれば、フェデラーへ先にプレッシャーをかけることができて、試合展開が変わっていたかもしれない。トッププレーヤーとの対戦では数少ないチャンスを、1回で仕留める重要さと、1ポイントの重みを、錦織は思い知らされた。

 一方でフェデラーも、錦織の能力の高さを評価した。もともとサーブのいいフェデラーだが、セカンドサーブでのポイント獲得率がわずか30%とふるわなかったのは、錦織のリターンがいかに良かったかを示している。

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