【ラグビーW杯】スコットランドに完敗。日本の戦術は分析されていた

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 これがワールドカップの厳しさであろうか。あの歓喜の夜から4日、英国はグロスターで、南アフリカ戦の再現はならず、日本代表の戦士たちは疲労と完敗(10−45)によるショックに打ちひしがれていた。疲労困憊(こんぱい)のリーチ マイケル主将(東芝)が声を落とす。

「中3日(の試合日程)は言い訳にできない。そのために練習してきた。相手のプレッシャーと自分たちのミスで流れが変わった」 

突進するスタンドオフ、立川理道。初戦と比べ、 チーム全体でミスも多く、精彩を欠いた突進するスタンドオフ、立川理道。初戦と比べ、 チーム全体でミスも多く、精彩を欠いた 確かに、この中3日を想定し、日本はあえてタフな日程でのテストマッチやトレーニングを課してきた。だが、やはりW杯は別物である。激闘の南ア戦による心身の疲労が消えているわけがないだろう。
 
 逆にここが初戦のスコットランドは準備万全だった。日本を分析し、素早い連続攻撃を封じ込むため、まずはスクラムハーフのレイドローがハイパントを蹴ってきた。序盤、そのボールをリーチがめずらしくキャッチミス。さらに最初のスクラムでは、左プロップの稲垣啓太(パナソニック)がコラプシング(スクラムを故意に崩す行為)の反則をとられた。
 
 レフェリーはアイルランド人だった。どうしても、同じ欧州のスコットランドのほうがレフェリーの笛に慣れている。稲垣は笛を吹かれた瞬間、「えっ、と思った」という。
 
「相手の3番(右プロップ)が落ちたと思ったんですけど、僕のおしりの方が相手より高かったから(反則を)とられた。落ちたと判断されたんでしょうね」

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