40歳のアレン・アイバーソンが語った「NBA復帰」への思い

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 先日、ルーキーシーズンを終えたばかりのニック・スタウスカス(SG)が、サクラメント・キングスからフィラデルフィア・76ersにトレードとなった。昨年のドラフトで全体8位という高順位で指名されながら、わずか1シーズンで放出されてしまったのだ。しかも、キングスを出た行き先は、再建期のどん底にある76ers。落胆しているのでは......と思ったら、どうやら、そうでもなかったらしい。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

選手会主催の『プレーヤー・アワーズ』に出席したアレン・アイバーソン選手会主催の『プレーヤー・アワーズ』に出席したアレン・アイバーソン「僕は子どものころから、アレン・アイバーソンの大ファンだったんだ」と、スタウスカスは語る。ハロウィンでアイバーソンのユニフォームと76ersのウォームアップを着て、アイバーソンに「仮装」したこともあったという。

「彼がプレーしていたところと同じチームでプレーすることになるなんて、考えてみたら、なかなかクールなことじゃないか」

 スタウスカスは1993年生まれ。アイバーソンがNBA入りした1996年の秋ごろは当時3歳で、アイバーソンがMVPを受賞した2001年の春は7歳半だった。物心がついて、選手に憧れ始めたころに輝いていたのが、アイバーソンだったのだ。スタウスカスに限らず、今の若手選手の中には、同じようにアイバーソンに憧れてバスケットボールを始めた選手が大勢いる。

 そんなことに気付かされた矢先、NBA選手会が今年から新たに始めた『プレーヤー・アワーズ(現役選手たちの投票によって選ぶ各賞発表イベント)』で、アイバーソンが、『ゲーム・チェンジャー賞』を受賞した。ゲーム・チェンジャー、つまり、バスケットボール界の変革者に与えられる賞。まさに、アイバーソンにぴったりの賞だ。投票の内訳は公表されていないが、子ども時代のヒーローだったアイバーソンに投票した選手は多かったはずだ。

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