伊達公子を抜いたクルム伊達公子。「まだやめるつもりはない」

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 今年1月19日、クルム伊達公子が、伊達公子を抜いた――。

 彼女のWTAダブルスランキングのこれまでの自己最高は、1992年8月24日に記録した33位だったが、今年1月に28位になったのだ。

 ツアー3勝を挙げてダブルスが好調だった13年シーズン、クルム伊達は、44位までランキングを上げたときに、次のように語っていた。

会見で笑顔を見せたクルム伊達公子会見で笑顔を見せたクルム伊達公子「ここまで来たら、ダブルスは過去の自分を抜いてみたいですね。不可能ではないと思います」

 14年、USオープン(全米)で準決勝に進出し、34位でシーズンを終え、再び記録更新の可能性が高くなった。そして、15年1月のWTAシドニー大会で、カロリナ・プリスコバと組んでベスト4になった後、ついに記録を更新。クルム伊達の現役再チャレンジの中でも、大きな偉業のひとつとなった。

「なかなかそんなことができるわけでもないし、ましてや今の私の年齢(44歳)で、体力的に単複は簡単ではないです。体力的なことよりも、自分のプレーの質を上げたり、勝負勘を得たりするために、ずっとやってきました。そのなかで、自分自身を上回れる結果を出せたということに、満足しています」

 昨年秋から悩まされている右側大転子の滑液包炎の影響で、15年オーストラリアンオープン(全豪)では、「出口が見つからない」と涙を見せたクルム伊達だったが、その後もひとつの部位をかばうと他に悪影響が出て、右肩や左ひじにも痛みが発生した。数大会、痛みとの戦いが続いたが、WTAマイアミ大会(3月26日~)では幸い痛みがひき、戦える状態になった。

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