フェデラーにとって、錦織圭との対決は特別な意味を持っている

  • 山口奈緒美●文 text by Yamaguchi Naomi
  • photo by Getty Images

1月特集 2015年錦織圭の挑戦!(7)

錦織圭vs「BIG3」
第2回:ロジャー・フェデラー編

日本人初のグランドスラム大会制覇を目指す錦織圭。その夢を実現するには、打ち破らなければいけない壁がある。「BIG3」と称される、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ、2位のロジャー・フェデラー、3位のラファエル・ナダルだ。第1回で紹介したジョコビッチはもちろんのこと、復活を果たしたフェデラーも、かなり手強い相手であることは間違いない――。

グランドスラム大会史上最多優勝(17回)を誇る「天才」フェデラー。グランドスラム大会史上最多優勝(17回)を誇る「天才」フェデラー。 世界のテニス記者たち約100名あまりが加盟する『国際テニスライター協会』は毎年、テニスの普及・発展にもっとも貢献し、メディアにも友好的だった選手を男女それぞれひとりずつ選出し、全豪オープンで表彰している。

 今年は話題性、新鮮さ、人柄も考慮して、男子プレイヤーでは錦織圭(25歳)が選ばれるのではないかと思っていた。ここだけの話、錦織に一票を入れたのだが、残念ながら選ばれたのは錦織ではなく、ロジャー・フェデラー(33歳。スイス/世界ランキング2位)だった。

 日本人の贔屓目(ひいきめ)だったのだろうか......いや、そんなはずはない。きっと錦織は"次点"だったはず! と思う。

 ともあれ、「世界」がテニス界への影響力として、フェデラーの復活をより高く評価したのは事実だ。

 復活といっても、世界ランキングが50位とか、100位にまで落ちたわけではない。一昨年(2013年)、グランドスラムの決勝から少し遠ざかり、世界ランキングが8位まで落ちていたというだけのこと。それだけで「そろそろ引退か......」と囁かれてしまうのだからたまったものではないが、「神の傑作」とまで称えられた男だからこそ、周囲では、その引き際へのカウントダウンがそのときからもう始まっていた。

 一方で、フェデラーという帝王を失ったら一体この先、テニス界はどうなるのか、という大問題があった。多くの人々が、フェデラーがいなくなったあとのテニス界の行く末に不安を抱えていたのはないだろうか。

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