世界選手権開幕。「『日本の渡嘉敷来夢』を知ってほしい」 (3ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 日本では192cmの高さがあるうえに、運動能力のある渡嘉敷には敵がいない。本人も「日本では簡単に得点を取れてしまう物足りなさがある」と明かしたことがある。そのうえ、所属するJX-ENEOSはいまやWリーグで6連覇中という層の厚さを誇る独走状態だ。「優勝したい」思いこそ感じるものの、チームとしても、個人としても、渡嘉敷にはもう国内にはライバルはいないのではないだろうか。だから何度か聞いたことがある。

「日本を飛び出して海外でプレイをしたいと思わないか?」

 しかしこれまでの渡嘉敷は、「いつまた足の骨が折れるのかという恐怖があって、海外のリーグに行くなどという考えは持てない」と話していた。でも今は違う。

「アジアでMVPをもらってから、その考えは変わりました。自分が成長していくためには、自分よりも高さやうまさがある選手と対戦すること。それは日本を出ることなんじゃないかって思っています。だから、この世界選手権ではチームが困った時に自分がどこまで導けるかをテーマに戦って、『日本の渡嘉敷来夢』という名前を世界の人に知ってもらう大会にしたい」

 果たして、今回の世界デビューは、渡嘉敷来夢のバスケ人生において、どのくらいの衝撃を与えるだろうか。

 日本が決勝トーナメントに進むには“死のA組”で最低1勝することが必要。冒頭でも述べた通り、予選ラウンドを勝ち抜くことは容易ではない。だが、どんな結果になろうとも、日本のエースが決意を持って臨む大会からは得られるものが大きいはずだ。渡嘉敷がエースとして牽引できるか、日本の可能性が見える大会になるか。この世界選手権では両方に注目していきたい。

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