世界選手権開幕。「『日本の渡嘉敷来夢』を知ってほしい」

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 道のりは険しい。だけど可能性を秘めているチーム。それが昨年、43年ぶりにアジア女王になった日本女子バスケットボール代表チームだ。9月27日から4年に一度の世界選手権がトルコの首都アンカラで始まる。

アジア選手権では中心選手として活躍し、MVPとベスト5に選出された渡嘉敷来夢アジア選手権では中心選手として活躍し、MVPとベスト5に選出された渡嘉敷来夢 日本はアジアチャンピオンになったというものの、予選ラウンドでは"死のA組"と呼ばれる厳しい組みに入ってしまった。初戦がヨーロッパチャンピオンでFIBAランク6位のスペイン、2戦目は前回準優勝でFIBAランク5位のチェコ、3戦目は次期オリンピック開催国で強化を進めているブラジル(FIBAランク7位)という、すべてが格上の強敵ぞろいだ。

 さらに、司令塔の吉田亜沙美が左膝の靭帯を断裂して現在リハビリ中であるうえに、日本は大神雄子と髙田真希以外、世界選手権は初出場というキャリアの浅さも懸念されるところだ。それでも、このチームは将来への希望がある。渡嘉敷来夢192cm(23歳)、間宮佑圭184cm(24歳)、髙田真希183cm(25歳)、王新朝喜(おう あさこ)189cm(26歳)といった、若くて走れるインサイドプレイヤーが4人もそろったからだ。世界の中では決して大きい部類ではないが、かつてない高さを擁した日本が、どこまで戦えるのかという点において注目したい大会だ。

 内海知秀ヘッドコーチは「ベスト8」が目標だと語る。近年の最高成績は1998年の9位。前回の2010年は10位。上位8チームによる決勝トーナメントを目指すのは現実的な目標といえるだろう。だが、選手たちは昨年のアジア選手権で優勝したことにより、自信を持って、世界にチャレンジしたいとキッパリ口にしている。

「世界選手権はオリンピックのために経験を積めばいい大会ではなく、勝負に行く大会。優勝すればリオデジャネイロ・オリンピックの出場権が獲得できるのだから、それを目標に臨みたい」とキャプテンの大神雄子が言えば、「今回の世界選手権は2年前にあと1勝のところでオリンピックに届かなかった地、アンカラでの再戦になります。借りを返す時が来ました」と間宮佑圭も続く。そして今、日本の中でもっとも意欲に満ちあふれているのが、世界大会デビューを飾る日本のエース、渡嘉敷来夢だ。

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