全英ベスト16。錦織圭のサーブはどこが進化したのか?

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 錦織圭が、"テニスの聖地"と言われるウインブルドンで自身初となるベスト16に進出。これまでウインブルドンでの錦織の最高成績は、2012年と13年の3回戦進出で、24歳の錦織は、テニスの4大メジャーの中でウインブルドンだけベスト16以上に進出できないでいた。それは、ボールのバウンドが低く滑り、足元も滑りやすいグラス(天然芝)特有のゲーム展開の難しさに起因する。

ウインブルドンでベスト16の錦織。夏はトップ10復帰を目指すウインブルドンでベスト16の錦織。夏はトップ10復帰を目指す「ハードやクレーでは、ディフェンスのプレーで、1本深いのを返球してしのぎますが、それが、(グラスでは)なかなかできない。ただ、サーブが良くなってきているし、プレーも安定してきて、試合内容も良くなってきているので、芝でのプレーも自信が増している」(錦織)

 ウインブルドン6度目の出場となった錦織には、日本男子で史上最高となる第10シードが与えられた。大会時の錦織のATPランキングは12位だったが、ウインブルドンは、世界ランキングだけでなく、過去2年間のグラス大会での成績を加味して、シード順を決める独自の基準があり、錦織はシード順をふたつ上げた。

「シードのことはあまり考えていないです。シード順が何であろうと、自分がすることは変わらないと思う。いつものようにしっかり準備して、いつものテニスをするだけです」

 錦織は、懸念されていた左股関節や左足ふくらはぎのケガが治り、1、2回戦では、シード選手らしい格の違いを見せつけた。さらに、ミドルサンデーを挟んで2日がかりのプレーを強いられた3回戦では、3時間13分の5セットにおよぶ勝負を制して初のベスト16進出を決め、錦織にしては珍しく両手を広げて喜びを爆発させた。

「嬉しいですね。別に16に入ることが目標ではないですけど、とりあえずグラスでひとつの壁を越えられた」

 こう語った錦織のプレーで目を見張るのは、サーブの「フリーポイント」が多いことだ。

 サーブでのフリーポイントとは、1打目のサービスエース、2打目の相手のリターンミス、相手の甘いリターンを3打目の自分のウィナーで決めること。つまり3打以内でポイントを奪うことをいう。

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