【男子バレー】全日本監督交代の舞台裏。新監督は未来を切り開けるか

  • 中西美雁●文、写真 tex&photot by Nakanishi Mikari

 2月6日、全日本で男女を通して史上初の外国人監督だったゲーリー・サトウ氏の退任と、新監督の南部正司氏の就任が発表された。

全日本男子を率いることになった南部正司監督(46歳)全日本男子を率いることになった南部正司監督(46歳) 南部氏は2007年からパナソニック・パンサーズの監督を務め、リーグ、天皇杯、黒鷲旗大会の3冠を2度獲得するなど、国内での実績は十分。ただ、国内での成績がイコール代表監督としての手腕を意味するかどうかは、リーグを全勝優勝して全日本女子の監督になったものの、世界選手権一次ラウンド落ちで解任された吉川正博元監督などの例もあり、即断はできない。

 もっともパナソニックは例年ブラジル遠征などを実施しており、スタッフにもブラジル人を入れるなど、海外のバレーに接する機会も多かった。これまでの全日本の弱点は「海外での対戦があまりにも少ないこと」という南部氏は、自身のコネクションを最大限生かして、海外代表・クラブとの試合を増やしていきたいという。

 ゲーリー前監督の解任のきっかけは、2013年9月に行なわれた世界選手権アジア最終予選で韓国に惨敗し、日本が初参加した1960年以来、初めて世界選手権の出場権を失ったことにあった。奇しくもその日は東京五輪の開催が決定した日でもあった。

 先月就任したばかりの荒木田裕子強化事業本部長は「世界選手権には当然出場できると思っていたので、ひどいショックを受けた」と語る。これには筆者も同感である。五輪出場が途絶えた"アトランタショック"以降も(厳密に言えばその前のモスクワ五輪もボイコット以前に出場権を逃していたのだが)、世界選手権には出場し続けてきた。それを逃したうえに、試合内容も最悪だった。人気ドラマ『半沢直樹』の直前のゴールデンタイムでの全国放映で、あってはならない醜態をさらしたのである。

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