【ラグビー】NZに完敗も、ジャパンが継続すべき「日本流」とは?

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu

 11月2日に行なわれた日本対ニュージーランドの一戦、なぜラグビー日本代表『ジャパン』はノートライに終わったのか。ニュージーランド(NZ)代表『オールブラックス』の危機管理能力が高いとはいえ、ジャパンの連係不足、個々のフィジカル不足、プレイの精度が雑だったからである。

 チーム最年長の35歳、ロック大野均はこう漏らした。「いちばんの差は、トライを取り切るところの"嗅覚"ですかね」と。

若手主体のNZに対して、トライを取りきれず、課題を残したジャパン若手主体のNZに対して、トライを取りきれず、課題を残したジャパン もうロスタイムだった。「赤」の束と「黒」の壁。超満員の秩父宮ラグビー場のスタンドが歓声とため息で揺れる。ジャパンが波状攻撃を重ねるも、オールブラックスの防御網は崩れない。ジャパンのトンプソンが、ブロードハーストがゴールラインまであと数十cmに迫る。

 PK(ペナルティキック)を連続してもぎ取り、相手フランカーのシンビン(一時退場)までもらった。ジャパンがひとり多くなる。チャンス。PKから左に回す。ラック。さらに左オープンに回して、最後はWTB福岡堅樹がライン際を脱兎のごとく駆け、左隅に飛び込んだ。

 トライ! そう見えた。だが、懸命に戻ったNZ主将のリッチー・マコウらふたりがかりのタックルを食らっていた。左隅のタッチフラッグが揺れる。トライかどうか、微妙なところだった。

 右目周辺を血だらけにした21歳の福岡が振り返る。「とにかくトライであってくれ、と願っていました」。録画映像によるTMO(テレビ・マッチ・オフィシャル)の結果、ボールをインゴールに付ける直前、左足がタッチラインを割っていたと判断された。

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