【男子バレー】世界バレー逃がす。惨敗の理由は力量か、采配か

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 故障のためワールドリーグには参加できず、今大会からの出場となった清水邦広は、「正直、15回連続出場がかかっているというのは、かなり意識していました。この大事な一戦で、自分が力を発揮できなかったのが本当に悔しいです」と唇をかむ。久しぶりの実戦に、「やはり、試合勘はまだ取り戻せていませんでした」。

 チームメイトの福澤達哉は、「これだけの大敗、反省点を挙げたらキリがありません。終始相手にリードされて、自分たちがやるべきバレーをやらせてもらえなかった。序盤でこちらが走れたら、もう少し結果は違っていたかもしれません。しかし、これが自分たちの現状の力です」と語った。

 采配にも疑問が残る。1セット目にセッターとオポジット(セッター対角の攻撃専門スパイカー)の2枚替えをしたのは、20-24のセットポイントになってから。第2セットはピンチサーバー以外はメンバーチェンジを行なわず、第3セットも7-14と点差がかなり開いてからの2枚替え。後手後手に回った感は否めない。前日のニュージーランド戦の2セット目と3セット目に控えメンバーを出場させた割には、それを韓国戦に活かすことができなかったといえるだろう。

 日本バレー史上初の外国人監督であるゲーリー・サトウ監督。現状の成績は、ワールドリーグ最下位、そして今年度一番重要度の高い、この世界バレーアジア予選での敗退、となる。前任の植田辰哉、その前の田中幹保といずれも世界バレーの出場権自体は獲得していたから、それを下回ることになる。

 就任後まもなくスタートしたワールドリーグでは、「まだ時間が足りなかったから」という言い訳もできたが、就任から5ヵ月が経ち、合宿も重ねてきてのこの結果は、厳しく受け止めるべきだ。この大会のあとにも、アジア選手権、グランドチャンピオンズカップと今年度は国際大会が続く。2002年の世界選手権出場のために、田中幹保は現全日本女子監督のベテランセッター、眞鍋政義を呼び戻して確実に切符を獲りにいった(本戦では当時大学生のセッターを起用)。それくらいの慎重さがあってもよかったのではないか。

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