勇気ある決断。
bjリーグからNBLへ参入する千葉ジェッツの狙い

  • 木村元彦●取材・文 text by Kimura Yukihiko 山本雷太●撮影 photo by Yamamoto Raita

『スポーツ紛争地図』 vol.3 第2回

 9月に開幕するバスケットボール新リーグの「NBL」。bjリーグからは千葉ジェッツしか参入しなかった。では千葉はNBLの一体何に展望を見出して単独で参入したのか。

 千葉ジェッツ、島田慎二社長に聞いた。
(第1回はこちら>)

bjリーグから唯一、NBLへの参入を決めた千葉ジェッツの島田社長bjリーグから唯一、NBLへの参入を決めた千葉ジェッツの島田社長――なぜ、bjから出てNBL参戦を選んだのでしょう。

島田「そもそもbjリーグで、うまくいっているのはまず地方です。沖縄の琉球ゴールデンキングスしかり、滋賀レイクスターズしかり、秋田ノーザンハピネッツしかり。他にプロスポーツがなかったり、メディアも地元紙、テレビも含めて、『おらが町のチーム』になりやすいところがうまくいっている。

bjはやはり地方モデルかなと私は思います。関東近郊だと、ほかにたくさんスポーツチームがありますし。秋田でノーザンハピネッツを知らない人はいないでしょうけど、千葉でジェッツを知らない人はまだまだ多いですから」

――Jリーグのチームが柏レイソル、ジェフ千葉とふたつあって、野球も千葉ロッテマリーンズがあります。マスメディアのフォローが無くても栃木がやったような地上戦、地域密着イベントでの露出はどうですか。

島田「うちはこの2年間、21チーム中最も多くのイベントをやっているんです。でも所詮その効果は今の程度なんです。そもそも(栃木とは)地域性が違うんじゃないかなと。山谷さんの栃木みたいに、同じような関東圏でメディアへの露出が難しいという場所で、田臥を入れることで、全国メディアを取り込んでうまくやるということは戦略としてあると思いますけど、今、残念ながらあれほどの選手はほかにいないですね。

 また、ビジネスモデルのところで(bjで)一緒にやっていても勝算はないかなというのがまずひとつありました。且つ、bjだとほとんどチームが地方に点在する。26試合アウェーに遠征するわけです。この遠征費用がすごくかかります。これを関東近郊だけでやったら、ほとんど電車で行けるので、10分の1ぐらいにコストダウンします。

 要は、関東で認知度を高めてビジネスとして成り立っていくことが難しいようであれば、ある程度コストを落とせる状況を作っていくというのは当然の発想です」

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る