【女子バレー】就任1年目で三冠へ。中田久美監督「常に目標は世界」

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

三冠を目指す久光製薬スプリングスの中田久美監督三冠を目指す久光製薬スプリングスの中田久美監督 かつての「天才少女」が、今度は監督として着実に結果を出している。

 女子バレーボール界で三大大会とされる皇后杯、Vリーグ、黒鷲旗大会のうち、すでに皇后杯とVリーグの二冠を手にした中田久美率いる久光製薬スプリングスが、残る一つのタイトルを目指して一歩踏み出した。5月1日、ボディメーカーコロシアム(大阪)で行なわれた第62回黒鷲旗大会の初戦、東海大学をストレートで下した。

 中田久美は中学2年の時に名将・山田重雄のバレー英才教育チームに入団、翌年に史上最年少の15歳で全日本に選出された。1984年のロス五輪ではレギュラーセッターとして銅メダルを獲得し、ソウル五輪、バルセロナ五輪にも出場。バルセロナ五輪では日本選手団の旗手も務めている。1997年に引退後はスポーツキャスター、タレントとして活動していたが、2008年、イタリア・セリエAのビチェンツァにコーチ留学。指導者の道を歩み始めた。

 2011年には久光製薬のコーチに就任、昨年7月から同チームの監督を務めている。監督就任1年目で皇后杯とV・プレミアリーグで優勝を果たし、今大会で三冠を目指す。

 就任当初は二冠を達成するなど思いもしなかったという。「勝因は団結力。誰が欠けても勝利はなかった」と語る中田監督は、リーグ制覇をこう振り返る。

「負けたり勝ったりする中で、負けたときに失速せず、チームが次のステップに進むための勢いにどう変えていくかということについては非常に気を遣いました」

 監督という仕事で思ったのは、「自分がセッターでよかった」ということだという。人を動かすことに慣れていたからだ。

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