【ラグビー】セブンズ元日本代表監督・村田亙「15人制では勝てない相手でも、7人制なら可能性がある」

  • 斉藤健仁●文・写真 text&photo by Saito Kenji

東京セブンズで日本は最下位に沈んだが、多くの人がセブンズという競技を知るきっかけとなった。東京セブンズで日本は最下位に沈んだが、多くの人がセブンズという競技を知るきっかけとなった。7人制ラグビーの監督に就任して4年――。
3月31日と4月1日に行なわれた、東京セブンズ大会を最後に村田亙監督は一仕事を終えた。この4年間、セブンズという競技に向き合い、どんなことを感じてきたのか。また、今春から母校である専修大学のラグビー部監督に就任し、これから描く未来を語った。

――秩父宮ラグビー場でセブンズ(ラグビー7人制)の国際大会「「セブンズワールドシリーズ 東京セブンズ2012」が開催されました。セブンズの監督としては最後の大会でしたが。

村田 まず11年ぶりに、しかも自分が監督のときに日本でやることができてよかった。スタジアムやテレビを通して、2016年からオリンピック種目に決まっているセブンズがどんな競技であるか。スピード感があり、攻守もすぐに変わり、前後半7分という短い時間の中で互いが全力を出し尽くすなどを、その魅力をお見せできたかなと思います。

――ただ日本は、残念ながら予選プールで3連敗、順位決定戦でも2連敗し、最下位タイの15位に終わってしまいました。

村田 初戦のイングランド戦の後半残りわずか、5-10のときに豊島翔平(東芝)から高校生の藤田慶和(現在早大1年)へのパスが通らなかった。勝負の"アヤ"というか、あのパスが通っていたらトライになっただろうし、久々の金星でガラッと変わっていたはずです。また前週の香港大会で、来季のコアチーム(ワールドシリーズに全試合出場できるチーム)入りを賭けた戦いで3位になれず、4位でその権利に手が届かなかったという落胆。そして自国開催というプレッシャーもあり2日目は疲れが出てしまった。結果が出なかったのは残念でしたし、本当に申し訳ない気持ちです。

――2月最初の大会は学生中心で、今大会は3月から招集された選手たち中心でした。「もうちょっと練習する時間があれば......」という声も聞こえてきました。

村田 それは確かに選手たちの言うとおりです。NZや南アフリカといった国は、各協会が20名ほどの選手とプロ契約して、世界9大会を回っている。日本も本来なら同じメンバーで2大会くらい経験して、先週の香港大会に臨むべきです。ですが、それが毎回できないのが日本の実情。過去には成田空港で集合して、そのまま遠征に行くということも多々ありました。本来はそういったことを無くしていかないといけないと思います。

――村田監督が就任し、日本はアジア大会で金メダルも獲得。日本のレベルは上がったと言っていいのでしょうか?

村田 昔は50点くらい取られた試合もありましたが、強豪相手でも10点台や20点台で抑えることができるようになりました。最近はフランス、アルゼンチンに勝ち、昨年の香港大会と今年の2月はスコットランドにも勝ちました。15人制ではなかなか勝てないような相手にもセブンズでは可能性がある。ただ、結果がすべて。勝てそうで勝てない、それが世界との差であり、日本の現在の実力。オリンピックまであと4年しかない。企業や大学ともコミュニケーションをとって日本全体で危機感をもって強化していかなければならない。

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