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【男子バレー】前代未聞のメディアミックス『ミュンヘンへの道』誕生秘話

2012.03.10

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari アフロ●写真

悲願の金メダルを獲得、選手に胴上げをされる松平松平康隆と日本バレー(2)

 松平康隆には、生涯を通じての信念があった。それは、「人を動かすモチベーションは金と名誉だ」ということである。そして、自分たちアマチュアスポーツ界の人間にとっては名誉が全てだという。この「名誉」には、メディアの評価、ファンの応援が当てはまる。

 著書『ミュンヘンの12人』(柴田書店)では、「われわれはアマチュアだ。だからファンを大切にする」「たとえばプロ野球の選手――彼らはすくなくとも金を目的にプレイできる。しかし、われわれからファンをとったら何が残るであろうか」と書いている。それほどまでにファンを重視していたのである。

 強くなること、勝つことにもメディアとファンが重要であるという考え方だった。監督がいくら「頑張れ。お前は日本が期待している選手なんだ」と言っても、誰もいない試合場では監督の独りよがりになるだけである。しかし、1万の観衆の中で、テレビのライトを浴びながら試合をしている選手たちなら、監督に言われるまでもなくプライドが刺激され、自己顕示欲を満たそうという気持ちが生まれるはずだという考え方だった。

 このような考えに至るにはふたつの理由があった。ひとつはネガティブな面からくる理由で、東京五輪の映画で一コマも撮影されず、無視されたことからくる悔しさや、欧州遠征で22連敗し、「世界のくず」と書かれた屈辱が背景にあった。

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