[2012年02月14日(火)]
【テニス】エース錦織圭も苦戦。
デビスカップで突きつけられた強豪国とのレベルの差
- 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi
- photo by Ko Hitoshi
男子国別対抗戦デビスカップで、日本は27年ぶりに世界トップクラスの16カ国で構成されるワールドグループに復帰。クロアチアとの1回戦では、オーストラリアンオープンでベスト8に進出した錦織圭が、シングルス1に起用され、日本のエースとして登場した。
クロアチアは、2005年に優勝して世界一にもなったことがある強豪だ。それでも、今回は主力である24位のマリン・チリッチと、33位のイワン・ルビチッチがケガなどで出場せず、43位のイボ・カルロビッチ、55位のイワン・ドディグら4人が来日した。
初日シングルス2試合、2日目ダブルス1試合、3日目シングルス2試合の合計5試合の内、3勝を挙げると勝利国となるが、日本としては錦織の2勝プラス1勝が、勝利の絶対条件だった。
「日本チームが、念願のワールドグループ入りをしてから、チーム4人のレベルが皆上がってきているし、モチベーションも上がってきている。クロアチアは強敵ですけど、勝てるチャンスは十分にあると思う」
試合前にこう語った錦織には、初日と3日目のシングルスでそれぞれ1勝して、合計2勝することが課せられていた。
初日に錦織と対戦したのは32歳のカルロビッチ。ツアーで最も身長の高い208cmの選手で、2008年8月には世界ランキングで自己最高の14位になった実績もあり、2011年3月には世界最速となる時速251キロのサーブを打って新記録を作ったベテランだ。
「カルロビッチとの試合は、サービスエースの嵐になると思うので、エースに気をとられないでリターンを入れてから勝負したい。ラリー戦に持ち込むのが自分の持ち味。簡単にブレークできないと思うので、自分のサーブをしっかりキープしていくことが大事になる」
もともと錦織は、サービスエースをガンガン叩きこんでくるタイプを苦手としている。得意のラリーでゲームを組み立て、自分のリズムを作り出すことができないからだ。
カルロビッチのサーブは、右腕の長さとラケットの長さも合わせると、地上約3mの高さから打ち下ろされてくる。打点が高く、鋭角に落ちてくるようなサーブは錦織も初体験で、リターンのポジションをベースラインから2、3m後ろに変えるなどしたが効果はなかった。
相手のサーブを「気にしない」と言っていた錦織だったが、結局、カルロビッチに18本のサービスエースを打たれて精彩を欠き、一度もブレークできないまま完敗を喫した。
3日目、シングルスの2試合目となるドディクとの対決に、錦織は「1戦目が悔しすぎたので、この試合にかける」という強い気持ちで臨んだ。しかし、序盤は緊張から動きが硬く、第1セット3-5とリードされて、第9ゲームではセットポイント1回をドディグに握られた。
それでも、錦織は得意のフォアハンドストロークを軸にネットプレイも織り交ぜ、攻撃的な姿勢を貫いてピンチを脱すると、第8ゲームから5ゲームを連取してセットを先取。続く第2、第3セットも連取してストレート勝ちを収め、ワールドグループで初勝利を挙げた。
「チームのために、最低1勝ができて、ほっとしている」と試合後に語った錦織だったが、日本は最終的に2勝3敗で敗退。9月にワールドグループ残留をかけてプレイオフを戦うことになった。
「(ワールドグループは)やっぱりタフですね。どの国と当たってもそうだと思うけど、絶対勝てるというのがない。チャンスは五分五分だと思っていたが、簡単には勝てないのがワールドグループなのかな。次は必ず2勝したい。ワールドグループに必ず戻ってきたい」
こう誓った錦織のほかに、日本代表チームは添田豪が世界のトップ100入りを果たしているが、竹内監督は、「これではワールドグループで勝つには戦力として不足している」と指摘する。
「伊藤竜馬(106位)と杉田祐一(172位)も、世界のトップ100に入る必要がある。そして、5セットマッチの経験は欠かせない。グランドスラムなどで、いろいろなサーフェスを経験し、トップ選手と試合をし続けなければいけない。その経験値が上がれば、日本チームは3、4年先に、何かどえらいことをやってくれるはず」
05年から指揮を執ってきた竹内監督は、今回のクロアチア戦で勇退。22歳の錦織らが、日本代表の中心となった今、「監督も若い人をチームに入れることが大事だから」と竹内監督の気持ちは固まっていた。
「フランクな方で接しやすく、信頼できる監督だったので、悲しい別れになってしまいました。新しい監督は誰か分かりませんけど、またいい監督が来てくれるといいですね」(錦織)
後任は決まっていないが、新監督にとって、次のプレイオフはかなり厳しい初采配となるだろう。
たった1年でワールドグループから陥落しないためにも、錦織のさらなる成長と添田ら個々人のレベルアップが、日本代表の火急の命題として突きつけられている。




















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