【テニス】人生初のスランプ。クルム伊達が16年ぶりのセンターコートで模索した光明
2011.05.25
- 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi このライターの記事一覧 Ko Hitoshi●写真 photo by photo by
クルム伊達公子が、グランドスラムのセンターコートに帰って来た。
40歳236日、ローランギャロス(全仏)史上3番目の年長プレイヤーのクルム伊達と、現在の世界ランキング1位で第1シードのキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)との1回戦は、当初コート1にオーダーされていたが、センターコートの試合消化が早かったため、急遽第5試合に組まれることになった。
クルム伊達が、パリのセンターコートに立つのは、1995年の準決勝以来で、実に16年ぶりのことだ。
16年前は4歳で、現在20歳のウォズニアッキは、前哨戦のブリュッセル大会での優勝を含め、今季すでに4勝を挙げ若き女王の強さを見せつけている。
一方、クルム伊達は、4月からのヨーロッパクレーシーズンで勝ち星に恵まれず、バルセロナ、マドリード、ローマ、ストラスブルグでいずれも初戦敗退。シュツットガルト大会の予選1回戦が、クレーシーズン唯一の勝ち星だが(予選2回戦敗退)、結局、不調から抜け出せないままパリ入りした。
第1セット第3、5ゲームでそれぞれ1回ずつ、クルム伊達はブレークポイントを握るが、このチャンスを逃すと、試合はウォズニアッキの独壇場となった。
「そう簡単に(ブレークポイントを)取れる相手ではないことは、百も承知だった。取れていれば、もしかしたら違う展開をつくれたかもしれない。自分の調子が悪く、勝てていないので、相手を見る余裕がなかった」
こう振り返ったクルム伊達は、28本のミスを犯し、本来得意とするリターンゲームでのポイント獲得率もわずか27パーセント。6-0、6-2とセットを連取し、試合開始からちょうど1時間後に、笑顔で観客の声援にこたえたのはウォズニアッキだった。
「キミコは経験豊富な選手なので、付け入る隙を与えないようにプレイしました。次のラウンドに勝ち上がることができて嬉しい」(ヴォズニアッキ)
今、クルム伊達は、自らも認めるスランプに陥っている。「勝ち負け以前の深刻なもの」だと語り、「精神的に、自分が打つ相手側のコートは狭く見え、自分が拾う自分側のコートが広く見える」とまで言う。
「自分のプレイに全く自信がない。負け方が問題。自分のプレイをして、自分がベストを尽くして、自分がやるべきことができた中で負けたのなら仕方が無い。(今は)自分のプレイをなかなか出させてもらえない。1月から勝ち星に恵まれず、運がないなと思っていたが、これは、スランプなんじゃないかとだんだん気づいたんです(苦笑)。テニスをやってきた中で、ここまでフィーリングがないのはなかったんじゃないかと思う。何をしたらフィーリングが戻るのか模索中です」
3日連続で練習したり、休みの取り方を変えたり、練習量を増やしたり、いろいろ試したが答えはまだ見つからない。記者会見では、「お払いに行った方がいいのではないか」という奇抜なアドバイスもあったほどだ。
「日本に帰っていないので、教会ですかね(笑)」
そう答えるクルム伊達に笑顔が見られるようになったのは、いい傾向ともいえる。そして、昨年のようなケガないことも明るい材料だ。
「ケガをしないレベルで(練習と試合を)続けていく中で、どこかでわずかな光が見えてくる日が来るんじゃないか。それを信じるしかない」
6月20日から開幕するウインブルドンまでにスランプのトンネルを抜け出せるのか、さらには、夏の北米ハードコートシーズンで、得意のサーフェスを生かして上昇カーブを描けるのか。戦い続ける中で、光明を見出そうとするクルム伊達のチャレンジは続く。
















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