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【男子バレーボール】ロンドンで勝つために——全日本のエース・越川優がイタリアリーグへ移籍

2009.09.24

  •  市川 忍●取材・文 text by Ichikawa Shinobu このライターの記事一覧 北村大樹/アフロスポーツ●写真 photo by Kitamura Daiju/AFLO SPORTS

photo by Kitamura Daiju/AFLO SPORTS 男子バレーボール、日本代表のエース越川優がイタリアリーグでデビューを果たす。移籍先はセリエA2部のチーム「Palla Volo PADOVA」。契約は1年で、すでに9月上旬、チームに合流しており同28日に開幕するリーグ戦に出場する。男子バレーのアタッカーとしてはトレビゾに所属した加藤陽一(つくばユナイテッド)以来、2人目となるイタリア挑戦だ。「バレーボールを始めたころからずっと海外移籍という夢はありました。でも、その目標がはっきりしたのは、昨年の北京オリンピックで敗れた瞬間です。対戦したイタリアやアメリカの姿を見て驚いたんですよ。ワールドカップなどで対戦するときの雰囲気とは全然、違った。付け入る隙なんてないんです」

 昨年、全日本男子は16年ぶりにオリンピックの舞台に返り咲いた。しかし、結果は5戦全敗だった。直前に行なわれた世界最終予選では、イタリアを相手にフルセットで惜敗。あと一歩というところまで世界王者を追い込んだ。前年のワールドカップでは、敗れはしたもののアメリカにも善戦。自分たちが着実に力をつけている手応えも感じた。

 ところがオリンピックは全く様相が違った。他の舞台では対等に渡り合えたイタリアとアメリカを相手に、手も足も出ずに完敗したのである。越川の目に映ったのは、オリンピックという重圧のかかる場所でこそ真の強さを発揮する強豪国の底力だった。日本のような企業スポーツではなく、世界最高峰のプロリーグで幾度となく修羅場をくぐってきた選手たちの、精神的なたくましさ――。これがメダルを目指すチームの姿なのだ。心のどこかで「出場できた」ことに満足していた全日本とは、心構えも目の色も違った。

「自分の国際舞台での経験の少なさを思い知りました。彼らに勝つためには、彼らと同じようにプロの選手の中でプレイしなきゃいけない、やはり海外へ出なきゃいけないと痛感したんです」

  北京オリンピックで左ひざを故障したことも、越川の決断を後押しする契機となった。オリンピックを終え、帰国した直後の8月下旬に手術。その後、チームを離れてたったひとりでリハビリに励む間、将来についてじっくりと考える時間が生まれた。ロンドンオリンピックまでに克服したい課題は何か。福澤達哉など、同じポジションに台頭してきた若手選手に比べ、自分が全日本で求められている働きは何か。導き出した答えは、より自分が向上できるステージに身を置くことだった。

 オリンピックの直後には、国際大会での越川の活躍を見た数ヶ国のプロチームから誘いを受けたが、越川が選んだのはイタリアだった。たとえ2部リーグとはいえ、パドバは後にイタリア代表となるベルミリオやフェイなどの名選手を輩出したチーム。何より試合に出られるチャンスが多いのが魅力だった。

「今は不安よりも期待のほうが大きいですね。契約の前にチームを訪ねたときの、町全体で名門クラブを応援しようという雰囲気も新鮮でした。まずは2部で結果を残して、できれば1年で1部に上がりたい」

 大学を経て企業入りする選手が圧倒的に多い中、「一日も早く高いレベルでプレイしたい」と岡谷工高校を卒業してすぐ、Vリーグに挑戦した越川。2006年には「生活を賭けなければ強くなれない」とサントリーを退社し、同チームとプロ契約を結んだ。常に高い目標を掲げ、逃げ場のない断崖絶壁に自分を追い込んできた越川が、新たに選んだイタリアリーグという舞台。全日本の若きエースは新天地でどんな活躍を見せてくれるのだろうか。

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