日本人初のモナコ制覇。GP2松下信治が語る「F1への想い」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 2016年5月28日、モナコの市街地サーキットに、『君が代』が響き渡った。F1直下のサポートレース『GP2』で、松下信治が優勝を飾ったのだ。モナコGPでは、日本人初の優勝だ。

伝統のモナコで日本人初の快挙を成し遂げた松下信治伝統のモナコで日本人初の快挙を成し遂げた松下信治 モナコ王室の方々が観覧するロイヤルボックスの下にしつらえられた表彰台も、モナコGPでしか味わうことができない。

「今までに見たことのない景色でした。スタートはクラッチのバイト(噛み)が強すぎて、ホイールスピンしてしまい並ばれちゃいましたけど、1コーナーのブレーキングを我慢してなんとか前を守って。あとはクルマの調子がすごくよかったんで、ヒヤッとするような場面もなかったですね」

 ポールポジションから一気に後続を引き離し、2位に13秒差をつけた独走勝利。2ポイントのボーナスが与えられるファステストラップも狙って、最後まで攻め続けた。

 わずかなミスが命取りになるモナコだが、45分間のレースでファステストまで求められるというのは、エンジニアからの信頼の厚さを示してもいる。

「結構エンジニアが厳しいんですよ(苦笑)。どのくらいのペースで走ればいいか、エンジニアと無線で相談しながらプッシュしたり、タイヤを冷やしてアタックの準備をしたり。誰かとファステストの出し合いをしていたらしくて、それは絶対に勝ちたかったんでプッシュを続けましたね」

 さらりとそう言ってのける松下も、なかなかのものだ。

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