エアレース開幕戦は大波乱。まさかの失格者続出に室屋義秀も困惑

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 思うような結果を残せず、室屋義秀が悔しさを露わにしたことは、これまでにもある。

レースの準備をする室屋義秀 (c)red bullレースの準備をする室屋義秀 (c)red bull 昨季第3戦(クロアチア・ロヴィニ)では、怒りに震えるように大きな叫び声を上げ、同第4戦(ハンガリー・ブダペスト)では、ぼう然とした様子で視線を宙にさまよわせた。どちらのレースも、自らのミスによってラウンド・オブ・14(以下、R14)で敗れた不甲斐なさを悔いてのことだった。

 だが、この日は違った。思わぬ敗退でレースを終えた室屋の顔には、悔しさを通り越し、もはや、あきれたようなひきつった笑いが浮かんでいた。

「何か違うゲームをしているみたい。レースをしている感じじゃなかった」

 なかば冗談めかした口調で話してはいるものの、それは間違いなく、室屋の本心だった。

 レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ2016の開幕戦(UAE・アブダビ)は、よもやの展開に見舞われた。室屋は予選のフライトを終えた段階で、「今回は波乱が、いや、大波乱が起こるかもしれない。その波に飲まれないようにしないといけない」と話していたが、終わってみれば、室屋の予感は現実のものになってしまった。

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