【MotoGP】ロレンソが逆転総合優勝。ロッシは届かず不満爆発!

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 2015年のMotoGP年間総合優勝は、ホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)が獲得した。

 ロレンソは、チャンピオンシップを争うチームメイトのバレンティーノ・ロッシから7点ビハインドという状態で最終戦バレンシアGPを迎えたが、土曜の予選ではサーキットの最速周回記録を塗り替える速さでポールポジションを獲得。日曜午後2時にスタートした決勝レースでも、レース中の最速ラップタイムを更新する速さで一度も前を譲らず30周を走りきって、今季7勝目を挙げた。終わってみれば総レースタイム記録を約11秒も上回っており、今回のレースウィークでロレンソが誰よりも速かったことは、これらの各種記録更新がなによりも雄弁に物語っている。

最終戦で年間総合優勝を決めたホルヘ・ロレンソ(中央)最終戦で年間総合優勝を決めたホルヘ・ロレンソ(中央) シーズンを通じてチャンピオンシップをリードし続けたロッシは、今回のレースをグリッド最後尾の9列目26番手からスタートした。前戦マレーシアGPでレース中にマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)と接触し、転倒を生じさせたことに対するペナルティを受け、その結果、この位置からレースを迎えることになった。

 優勝で25ポイント、2位は20P、3位16P、4位13P、5位11P、6位10P......というMotoGPのポイント制度を見ても、最後尾スタートのロッシがロレンソに対し、1ポイント以上の優位を保つ結果を獲得するのは至難の業(わざ)だ。予選でロレンソが記録破りの速さを披露してポールポジションに就いた事実を考慮すれば、レース前のロッシが「状況はほぼ絶望的」と語ったのも、当然ではあっただろう。

 だが、チャンピオン獲得に執念を燃やす36歳のロッシは、この位置から目の覚めるような追い上げを見せた。1周目で15番手、2周目に12番手、5周目には8番手......と猛烈なオーバーテイクを続け、レースが半ば近くに差し掛かった13周目には、ついに4番手へと浮上した。しかし、このときすでにトップグループは遠く離れており、先頭のロレンソ、2番手のマルケス、3番手のダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)の集団まで13秒の差が開いていた。

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