【F1】「フェラーリ超え」を達成できず、ホンダに迫るタイムリミット (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 金曜フリー走行は基本的な確認作業に追われ、マシンからピットへとデータを送信するテレメトリーが断続的に不通となる問題にも見舞われた。唯一のセットアップ作業のチャンスであった土曜午前のフリー走行では、フェルナンド・アロンソ車の排気管にトラブルが起きて、1周しか走ることができなかった。そして、土曜までのデータを分析してできるだけの対策を施して臨んだ決勝でも、マノーとマクラーレン・ホンダだけが周回遅れにされて、13位・14位でレースを終えた。

 新井総責任者は、「Q1の結果を見て予想していたとはいえ、厳しいレースでした……」とガックリと肩を落とした。それでも、今回投入した燃焼室周りのアップデートが失敗だったと断罪すべきではない。

「出力はあの人たち(ルノー)よりは確実に出ています。『アップデートした割に出力が出ていない』とか(記事に)書かれていますが、そんなことはないんです。出力は出ているけど、それをラップタイムにつなげられていなくて、クルマを速く走らせるための出力になっていないというのが現状です。速いか遅いかの勝負だけという意味では、ファンの人たちをガッカリさせているのも事実ですが、それ(今レースの低迷)は今回アップデートした燃焼コンセプトとは別の問題なんです」

 次のイタリアGPの舞台となるモンツァは、世界屈指の高速サーキット。スパ・フランコルシャン以上に高い全開率が求められるだけに、苦戦が予想される。新井総責任者はパワーユニット本体に限らず、エネルギーマネージメントや車体セットアップも含めたマシン全体としての戦闘力は期待できないだろうと示唆した。

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