【エアレース】室屋義秀、第3戦で10位もトップ争いへ視界良好 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 それでも室屋は、何事もなかったように「トレーニングセッションからずっとコンスタントに飛べているので、こんなものかなという感じ」と語り、もはや予選での自己最高順位など気にも留めていない様子だった。室屋が続ける。

「今季開幕戦のアブダビでは、コケる人がいていい結果(予選3位)が出た。去年の第2戦のクロアチアも、他のパイロットにペナルティが続出した結果、自分が上がっていって表彰台(3位)に立っただけ。でも今回はトレーニングから中身がまったく違う」
室屋義秀は、予選では2位と過去最高を記録した(c)red bull室屋義秀は、予選では2位と過去最高を記録した(c)red bull 室屋が千葉での第2戦に合わせて導入した新型機「エッジ540 V3」も日本開催のレースでこそ、ぶっつけ本番の印象が否めなかったが、レーストラックでのトレーニングフライトを重ねたことで、確実に調整が進んでいた。

 室屋は「千葉では台風でトレーニングセッションが2日くらいつぶれたのが痛かった」と振り返り、「今回は本当に実戦で使えるデータが収集でき、それを解析してセッティングできている。まだ完全とは言えないが、いい感じで進んでいる」と笑顔を見せ、新型機の調整が順調であることをうかがわせた。

 室屋が2009年にエアレース・デビューして以来、自身最高の状態で予選を終えていたのは間違いない。表彰台はおろか、念願の初優勝さえ夢ではないと思わせるほどだったのだ。

 ところが、1対1のヒート方式で行なわれるラウンド・オブ・14で落とし穴が待っていた。

 予選2位の室屋は、予選13位のピート・マクロード(カナダ)と対戦。相手のマクロードは今回の予選でこそ低迷したが、開幕戦のアブダビではラウンド・オブ・8で室屋と対戦して勝利し、そのまま表彰台(3位)まで駆け上がった実力者である。室屋も警戒の色を強める相手だったのだが、案の定、先に飛んだマクロードは、それまでに飛んだ11人のなかで最速のタイムを叩き出し、室屋にプレッシャーをかけてきた。

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