課題山積。マクラーレン・ホンダは無事に開幕を迎えられるのか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki photo by Yoneya Mineoki

 2月22日午後0時36分、インシデント(事故)発生を知らせる赤旗の提示から程なくして、マクラーレン・ホンダはガレージのシャッターを完全に閉じた。

 マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソが高速コーナーでクラッシュ。自力でマシンから降りることができなかったアロンソは、救急隊によってマシンから救出された。

クラッシュ後、搬送されるアロンソのマシンクラッシュ後、搬送されるアロンソのマシン マクラーレン・ホンダは今季2回目となる合同テストでも、失意のうちにサーキットを後にすることになった。彼らは、2月上旬のヘレス合同テストで初期チェックを完遂できなかったため、2週間のインターバルを挟んで臨んだ2月19日からのバルセロナ合同テストで走り込み、大きな前進を果たす予定だった。

 しかし、初日にMGU-K(※)のモータージェネレーターユニットとギアボックスとをつなぐ箇所の密封シールに問題が発生し、21周しか走ることができなかった。発電量が大きく強大なトルクが発生する今のMGU-Kでは、シールも強力な熱に晒されることになり、その耐久性に問題があった。
※MGU-K=Motor Generetor Unit - Kinetic/運動エネルギー回生装置

「MGU-Kのモーターとギアボックスを接続しているシールが良い状態じゃなかったんです。ヨーロッパの外部サプライヤーに発注した製造品質が我々の想定通りになっていなかっただけで、設計上の問題があったというわけではないです」

 ホンダの新井康久F1総責任者はこう説明した。この日、マクラーレン・ホンダはこの問題の原因究明に追われ、この後のすべての取材対応をキャンセル。すぐに原因を特定し、新たに製造したパーツをバルセロナへ取り寄せた。

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