【F1】予想外の展開。開幕戦でロータスが勝利できた理由

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

開幕戦のオーストラリアGPを制したのはロータスのキミ・ライコネンだった開幕戦のオーストラリアGPを制したのはロータスのキミ・ライコネンだった
「サインボードに表示された順位を見て、自分で数えていたのよりも順位がひとつ下だってことに驚いたんだ。フェルナンド(・アロンソ/フェラーリ)に抜かれたのは分かっていた。でも、それ以外のクルマがどこからやってきたのか、まったく想像もつかなかったんだ」

 開幕戦オーストラリアGPを3位で終えた王者セバスチャン・ベッテル(レッドブル)は、呆然とした表情で言った。

 58周のレースを終えて表彰台の中央に立ったのは、ロータスのキミ・ライコネンだった。

 ロータスは冬のテストから戦闘力の高さが噂されていたとはいえ、予選7位から優勝に手が届くとは、誰もが予想もしていなかっただろう。なにせ、フロントローを独占したレッドブル勢は、土曜の豪雨と日没で日曜午前に順延となった予選で他チームに大きな差をつけていたのだから。

 日曜の午後5時にスタートが切られた決勝でも、ポールポジションからスタートしたベッテルが隊列を率いた瞬間、彼の独走劇を覚悟した者は多かったはずだ。しかし、3周が過ぎても5周が過ぎても、追いすがるフェラーリ勢との差は開いていかなかった。そして彼らがポジション争いをしながら続々とピットインを行なう中で、いつの間にかトップに立っていたのはライコネンだった。

「マシンが良いことは分かっていたし感触は良かったけど、初戦だからタイヤがどうなるかなんて分からなかったし、最初の数ラップを走ってみなければなんとも言えないなと思っていたよ」

 ライコネンはそう語ったが、ベッテルやフェルナンド・アロンソが15周程度でミディアムタイヤを使い切ったのに対して、ライコネンは同じタイヤで25周もの距離を走り切った。これによって、ライバルたちが3回のタイヤ交換を必要としたところを、2回の交換で58周を走り切ってしまったのだ。

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