【MotoGP】順調なホンダ&ヤマハと対照的。
ロッシの表情を曇らせるドゥカティの迷走

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by Getty Images

2回目となるテストで思ったようなタイムを出せずに苦しんでいるバレンティーノ・ロッシ2回目となるテストで思ったようなタイムを出せずに苦しんでいるバレンティーノ・ロッシ 2月28日から3月1日まで、マレーシア・セパンサーキットで行なわれた2回目のMotoGPプレシーズンテストは、メーカーとライダーの明暗がくっきりと分かれる結果になった。

 3日間の走行を終えてトップにつけたのは、2分00秒473のタイムを記録したレプソル・ホンダのケーシー・ストーナー。チームメイトのダニ・ペドロサが0.175秒の僅差で続き、ホンダファクトリーのワンツーとなった。

 実は今回のテストでは、初日終盤、ペドロサの走行中に、マシンのダッシュボードに赤ランプが灯る不審な出来事が発生した。ペドロサはコース脇にマシンを停めて、この日の走行を終了。

 ホンダは原因究明のため、エンジンをその日の夜に日本へ送り返す事態にまで発展した。2日目は、ホンダ勢の全選手が日本から検証結果を得るまで走行を見合わせ、午後には走行に問題なしとのゴーサインを得たものの、運悪く熱帯特有のスコールに見舞われてしまい、結局丸々一日を走行できないまま潰すことになってしまった。

 このような事態を経ていただけに、彼らの3日目のパフォーマンスには大いに注目が集まった。だが、終わってみればいつもと同じく他陣営を圧する内容。

 長い連続周回をしていないことに対しては、エンジンを慮(おもんぱか)ったのではないかという推測もあったが、両選手は「短い周回を重ねて(セットアップの)変化を見極めたかったので、今回はロングランの必要はなかった」(ストーナー)「エンジンブレーキとリアブレーキに課題を抱えていたので、その状態でロングランをしても意味がなかったから」(ペドロサ)と答えている。

 一方のヤマハは、今回のテストでエンジン、車体、電子制御のあらゆる方面で豊富なマテリアルや方向性を試した。ホルヘ・ロレンソは、最終日のタイムでペドロサから0.23秒ほど後れたものの、内容には確実な手応えを掴んだ様子で、「ケーシーとダニはとても速いので、もっとバイクを良くしていかなければならない。去年よりはだいぶ(彼らに)近づいているけど、バトルをできる水準かどうかはまだわからない」と貪欲な姿勢を見せている。

 開幕戦に照準を合わせて仕様を絞り込んでいく次回の最終テストで、彼らの戦闘力は今回以上に明確になるだろう。

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