防御率3点台半ば。それでも田中将大を評価すべき理由

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 レギュラーシーズンも残り20試合を切り、両リーグともに地区優勝争いが佳境となってきました。田中将大投手の所属するニューヨーク・ヤンキース(80勝66敗)は9月18日現在、ア・リーグ東地区首位のトロント・ブルージェイズ(85勝62敗)と4.5ゲーム差。ワイルドカード争いでは1位に立っているものの、プレーオフ進出に向けて気の許せない状況です。

メジャー2年目のシーズンを戦うヤンキース・田中将大メジャー2年目のシーズンを戦うヤンキース・田中将大 そんなヤンキースを牽引する田中投手の評価について、今シーズンは昨シーズンと比べてネガティブな報道を目にすることが多々ありました。「防御率が昨年の2点台から3点台になった」「ホームランを多く打たれている」など、昨シーズンより成績を落としているという内容です(2014年=13勝5敗・防御率2.77・被本塁打15本/2015年=12勝7敗・防御率3.38・被本塁打24本)。ただ、個人的に今シーズンの田中投手のピッチング内容は、もっと評価されるべきだと思っています。

 今シーズン、田中投手は開幕前から厳しい環境で投げざるを得ませんでした。まずは、「2年目のジンクス」というプレッシャーです。もともとアメリカで使われるようになったその表現は、デビュー1年目で好成績を挙げたルーキーが2年目に調子を落としたとき、よく引用されます。

 特に多いのは、ピッチャーのケースでしょう。ピッチャーは相手チームに球種などを研究されることが多く、バッターの目も球筋に慣れてくるからです。その結果、鮮烈なデビューを果たしたものの、2年目になると急に成績を落とす傾向があるのです。

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