球速低下が指摘される田中将大。問題はそこではない

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 現地4月6日に本拠地ヤンキースタジアムで行なわれたトロント・ブルージェイズとの今シーズン開幕戦。初の開幕投手を務めたニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手は、4回5失点という残念な結果に終わりました。ツーシーム主体の新しいピッチングで臨んだものの、コントロールに苦しみ今季初黒星。地元ニューヨークのメディアは田中投手の球速低下を問題視し、昨シーズン傷めた右ひじの影響だと指摘しました。

地元メディアに球速の低下を指摘されたヤンキースの田中将大地元メディアに球速の低下を指摘されたヤンキースの田中将大 そして迎えた2試合目の登板。4月12日のボストン・レッドソックス戦に先発した田中投手は、5回4失点で初勝利を手にしました。ただ、ストレートの球速は最速93マイル(約149.6キロ)。昨年のように150キロ台を連発することはありませんでした。そこで今回は、「球速」と「ひじの故障」の関連性について、アメリカ国内で話題となっていることを取り上げたいと思います。

 近年のメジャーリーグでは、ピッチャーの球速が年々増しています。アメリカの球速測定器システム『ピッチ・エフエックス(PITCH f/x)』の発表によると、先発投手の速球は、2007年の平均時速が89.8マイル(約144.4キロ)だったのに対し、2014年は91.4マイル(約147キロ)。ここ7年で約2.6キロも平均時速がアップしました。ただ、それに比例するかのように、ピッチャーのひじの故障は増加しています。その結果、じん帯まで損傷してトミー・ジョン手術をする選手も増えていきました。

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