世界一のジャイアンツが青木宣親を欲した理由とは?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 現地1月20日、カンザスシティ・ロイヤルズからFAとなった青木宣親選手(打率.285・1本塁打・43打点・17盗塁)が、サンフランシスコ・ジャイアンツと年俸470万ドル(約5億5000万円)プラス出来高で1年契約を結びました。ジャイアンツといえば、昨年のワールドシリーズで対戦し、目前で世界一の夢を断たれてしまった相手です。2015年、青木選手はワールドチャンピオンチームの一員として、再び頂点を目指すことになります。

※カッコ内は2014年シーズンの成績

ジャイアンツの入団会見で笑顔を見せる青木宣親ジャイアンツの入団会見で笑顔を見せる青木宣親 青木選手がジャイアンツを選んだ理由として、「世界一を狙えるチーム」や「出場機会が多いこと」などが挙げられていますが、「本拠地がサンフランシスコ」という点も大きかったのではないでしょうか。世界有数の観光都市で、日本からの直行便も多く、古くから日本人街も存在するサンフランシスコは、日本人にとって非常に生活しやすい街だからです。

 青木選手はメジャーに挑戦してからの3年間、ミルウォーキー(2012年~2013年)、そしてカンザスシティ(2014年)と、いわばアメリカの地方都市でプレイしてきました。日本人のあまり多くない地方都市でアメリカの生活に慣れるには、さぞ苦労も多かったことでしょう。各地を転々として戦うメジャーリーガーにとって、家族の待つホームタウンでの安らぎは大事な要素だと思います。青木選手の家族にとっても、なんでも揃っているサンフランシスコの環境は申し分ないのではないでしょうか。

 2015年シーズンのジャイアンツ外野陣には、センターにアンヘル・パガン(打率.300・3本塁打・27打点・16盗塁)、ライトにハンター・ペンス(打率.277・20本塁打・74打点・13盗塁)と、ふたりのレギュラークラスがいます。青木選手は、残されたレフトのポジションを争うことになるでしょう。

 昨シーズン、レフトのポジションはマイケル・モース(打率.279・16本塁打・61打点)と、グレゴール・ブランコ(打率.260・5本塁打・38打点・16盗塁)が主に守っていました。しかし、守備のうまくないモースはFAでマイアミ・マーリンズに移籍し、今オフに再契約したブランコもレギュラークラスとは言いがたい。つまり、ジャイアンツのレフトは昨シーズンから続くウィークポイントなのです。

 レフトを争うブランコと青木選手を比較すると、ジャイアンツが青木選手獲得に乗り出した理由がよく分かります。昨シーズンの出塁率は、ブランコ=333に対して青木選手=.349。また、1番バッターとしての出塁率も、ブランコ=.282に対して青木選手=.336。ともに、青木選手のほうが上回っています。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る