ついにワールドシリーズ。青木宣親、初の世界一なるか?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

【2014年ワールドシリーズ展望】

 2014年のワールドシリーズは、カンザスシティ・ロイヤルズ対サンフランシスコ・ジャイアンツというカードになりました。このカードは、2002年のアナハイム(現ロサンゼルス)・エンゼルス対ジャイアンツ戦以来、12年ぶり2度目となる「ワイルドカード同士」の対戦です。当時、ジャイアンツには新庄剛志選手が在籍しており、日本人初のワールドシリーズ出場で大きな話題となりました。結果は、エンゼルスが4勝3敗でジャイアンツを下し、球団史上初の世界一に輝いたシーズンです。

ロイヤルズ移籍1年目でワールドシリーズ制覇に挑む青木宣親ロイヤルズ移籍1年目でワールドシリーズ制覇に挑む青木宣親 今回のカードは、レギュラーシーズンで90勝に届かなかったチーム同士の対戦でもあります。ア・リーグのロイヤルズは89勝73敗で中地区2位、ナ・リーグのジャイアンツは88勝74敗で西地区2位でした。通常、地区優勝ラインは最低90勝なので、非常に珍しいカードと言えるでしょう。

 しかし両チームとも、ポストシーズンに入ってからの勢いは目を見張るものでした。ご存知のように、ロイヤルズはポストシーズン新記録となる無傷の8連勝をマーク。球団初の世界一に輝いた1985年シーズンから計算すると、29年越しでポストシーズン11連勝中です。一方のジャイアンツも、ディビジョンシリーズ第3戦でワシントン・ナショナルズに敗れるまで、ポストシーズン通算10連勝を記録しました。近年17試合のポストシーズンの成績は15勝2敗。こちらも、ほとんど負け知らずの勢いです。

 今年のワールドシリーズの注目は、「ロイヤルズの青木宣親選手が世界一になれるかどうか」に尽きるでしょう。相手のジャイアンツは、最近5年間で3回目のワールドシリーズ進出で、過去2回(2010年、2012年)とも世界一に輝いている常勝軍団です。

 ジャイアンツの強みは、なんといっても駒の揃った投手陣でしょう。先発には、リーグチャンピオンシップシリーズでMVPに輝いたエースのマディソン・バムガーナー(18勝10敗・防御率2.98)を筆頭に、ジェイク・ピービー(7勝13敗・防御率3.73)、ティム・ハドソン(9勝13敗・防御率3.57)、ライアン・ボーグルソン(8勝13敗・防御率4.00)と、安定感のある投手を4人も擁しています。今年のポストシーズン10試合での先発陣の成績は、防御率2.40、WHIP(※)0.99。抜群の成績を残しており、まさに隙のないローテーションと言えるでしょう。

※WHIP=被安打数と与四球数(与死球数は含まない)を投球回数で割った数値で、1イニングあたり何人の走者を出したかを表す。WHIP1.00未満はメジャー屈指のレベル。
※カッコ内の数字はレギュラーシーズン終了時の成績

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