驚異の奪三振率。ヤンキースに「リベラ2世」現る!

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 昨年限りで現役を引退した元ヤンキースのマリアノ・リベラは、メジャー歴代1位となる652セーブを記録した、まさに不世出のクローザー。そのリベラの再来として注目を集めているのが、今年ヤンキースのセットアッパーとして活躍しているデリン・ベタンセスだ。現地時間6月18日現在、30試合に登板し(41回2/3)、4勝0敗、防御率1.51。さらに70奪三振は、メジャーのリリーバーの中でトップの数字だ。

5月に行なわれたメッツとのサブウェイシリーズで6者連続三振を奪ったベタンセス。5月に行なわれたメッツとのサブウェイシリーズで6者連続三振を奪ったベタンセス。

 ベタンセスは現在26歳。ちなみに、リベラが頭角を現してきたのが1996年のシーズン、彼が26歳の時だった。そういった経緯もあり、ニューヨークメディアはリベラとベタンセスを重ね合わせ、大きな期待を寄せている。

 リベラといえば、打者が投げてくるとわかっていても打てなかったカットボールが有名だったが、ベタンセスのピッチングを支えているのはスライダーだ。もちろん、98マイル(約157キロ)の直球を持ち合わせていることも大きいが、ベタンセスが投げるスライダーに打者のバットは空を切り続けている。はたして、ベタンセスのスライダーはリベラのカットボールのような"魔球"になりえるのか。

 ヤンキースのラリー・ロスチャイルド投手コーチは、「リベラが偉大すぎて、彼と比較するのはおかしいよ」と苦笑したが、すぐに「我々はベタンセスに大きな期待をかけている」と真顔で答えた。

 ベタンセスのスライダーは83マイル(約133キロ)前後で、他の投手とほとんど変わらない。だが、描く軌道が他の投手のスライダーとは違うのだ。その理由をベタンセスが説明してくれた。

「僕自身もスライダーと呼んでいるが、本当のところはナックルカーブとスライダーを合わせたボール。ふたつのボールの中間だと思う。"スラーブ"と言ってもいいかもね。握りはナックルカーブに近いんだけど、リリースはスライダーを投げるイメージで、できるだけ打者の近くで離すように心がけている。あとは、あまり手首のスナップを利かせて投げないこと」

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