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【MLB】松井秀喜、ライバルたちが戻ってくる6月以降の使われ方は? (2ページ目)

  • 水次祥子●文 text by Mizutsugi Shoko
  • photo by Getty Images

 3Aダーラムで1日も休まずプレイした2週間、松井は野球に没頭していた。ダーラムでは午後7時からのナイターの日は3時45分から全体練習が始まるが、3時には球場入りし、早くからフィールドに出て体を動かしていた。それは、今までにはない姿だった。全体練習が始まると他の若いチームメイトと一緒にフィールドで円陣を組んでミーティングに参加し、他の選手とまったく同じ練習メニューをこなした。

 早出特打ちにも積極的に参加した。内陸の南部にあるノースカロライナ州ダーラムは蒸し暑く、5月でも陽のあたる場所にいるだけでじっとり汗が滲んでくる。そんな中での長時間の練習はベテランには堪えるはずだが、松井はそれをいとわなかった。

 あるとき、午後2時30分から自由参加の打撃練習をするというので松井が早く球場入りしたことがあった。しかしグラウンドにはまだケージも何も用意されておらず、他の選手は誰も出てきていない。結局、打撃練習はキャンセルになっていたことをあとで知ったのだが、松井がいかに練習することを熱望していたかを示す出来事だった。

 マイナーの試合では、メジャーで実績のあるベテランに対して相手の若い投手が全力でぶつかってくる。松井は苦手なコースも知られており、外角の厳しいところを攻めてくる投手も多かった。その対策のためか、松井は打撃練習で逆方向に打球を打ち返すことにも取り組んでいた。

「試行錯誤は常にしています」

 松井はそう言った。37歳のベテランが新たな挑戦をし、必死に這い上がろうとしていたのだ。そしてメジャー昇格を果たした今、次は生き残りをかけて日々戦っている。

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