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【MLB】松井秀喜、最後の挑戦「自信がなければプレイはしない」 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by REUTERS/AFLO

 2月下旬に渡米した松井は、ニューヨークでバッティング・ケージを借りきり、孤独な打ち込みを黙々と行なっていた。暖かくなってからは、マンハッタンから北へ車で45分ほどのところにある街の公園で、たったひとりのスプリング・トレーニングに励んでいた。来るべき日のために準備だけは欠かさない。それが松井にできる唯一のことだった。だからこそ期するものがあった。

「試合はできなかったですけど、それ以外の練習はしてきました。体調もいいので、早い段階から試合への準備はできると思います」

 レイズは松井の調整にはタイムテーブルを設けず、本人の意向に沿った形にしていきたいとその方針を語った。

 とはいっても、今の松井に与えられた時間は多くない。3Aでの実戦が始まれば、早い段階での結果が求められる。スロースターターのイメージが定着している松井だが、昨年のようになかなか調子が上がらない状態が続けば、いつ解雇されても不思議ではない。それでも、松井は惑わされることなく、自分ができることだけに集中する。"松井が松井であることは変えられない"ということだ。

「自分の中ではスロースターターだと思ったことはない。自分の中でベストを尽くしていくしかないと思っています」

 あれだけ背番号55にこだわって来た男が「まったく思い入れはない」と語り、日本球界へ復帰することも「考えたことはなかった」と言い切った。

 そして記者からの「自信はあるのか?」という質問に、松井は迷わず答えた。

「自信がなければプレイはしないと思います」

 集大成にして背水の陣。松井秀喜の『誇り』をかけた戦いが始まろうとしている。

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