【MLB】レイズが今、松井秀喜を欲しがった3つの理由

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

松井秀喜は打撃不振に苦しむレイズの『起爆剤』となれるか松井秀喜は打撃不振に苦しむレイズの『起爆剤』となれるか 松井秀喜選手がタンパベイ・レイズとマイナー契約間近です。なぜ、レイズはこの時期になって松井選手の獲得に動いたのでしょうか。まずは、レイズの現状から紹介したいと思います。

 資金力に乏しく、才能がありながら年俸の安い若手選手で構成されるレイズは、『スピード』と『守り』を重視とした野球スタイルです。同じア・リーグ東地区のライバル、ニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックスと比べると、どうしてもパワー面で見劣りしてしまいます。しかも現在の打撃成績(4月27日現在)は、チーム打率.246(リーグ9位)、得点圏打率.239(同10位)、DH打率.253(同9位)と伸び悩んでいる状況です。松井選手に白羽の矢が立ったのは、停滞する打撃面を改善する意味合いが強いでしょう。

 また、松井選手が典型的な『セカンド・ハーフ・プレイヤー』だという点も見逃せません。日本では聞き慣れない言葉ですが、シーズン前半戦よりも後半戦のほうが活躍する選手のことを指している言葉で、昔から『夏男』と呼ばれる松井選手は、メジャー9年間でも後半戦のほうが総じて成績がいい。昨年のオークランド・アスレチックスでも、前半戦の打率.209に対し、後半戦の打率.295と、実に1割近くも上昇させました。過去4年間で3度もプレイオフに進出しているレイズは、ポストシーズンも視野に入れて戦っているので、松井選手のようなプレイヤーの存在は非常に頼りになります。

 さらに、レイズが松井選手を獲得するもうひとつの理由は、彼が『クラッチヒッター』だという点でしょう。勝負強さはヤンキース時代から定評があり、通算の得点圏打率は.298を記録。さらに、ゲーム終盤の接戦では打率3割以上をマークしており、この点もレイズにとっては魅力的です。ジョー・マドン監督も、以前から松井選手のクラッチヒッターぶりを高く評価していました。

 おそらくレイズの首脳陣は、昨年のシーズン終盤に見せた『逆転劇の再現』を思い浮かべているのではないでしょうか。レイズは昨年、8月と9月のホームゲームで23勝9敗を記録し、大きく離されていたレッドソックスとの差をひっくり返して、プレイオフの切符をつかみました。特にレギュラーシーズンの最終戦、9回裏ツーアウト、ランナーなしの状態から、代打のダン・ジョンソンがツーストライクに追い込まれながらも劇的な同点ホームランを打ち、結果、奇跡のプレイオフ進出を果たしました。ジョンソンは今年、シカゴ・ホワイトソックスと契約したので、もし松井選手がレイズ入りすれば、大事な局面で期待されるのではないでしょうか。

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