メンバー手薄なJC。牝馬ショウナンパンドラにもチャンスあり

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 秋の「古馬三冠」第2弾となるジャパンカップ(以下、JC。東京・芝2400m)が、11月29日に開催されます。

 35回目を迎える今年、1着賞金は3億円に上がりました。僕も騎乗していた第1回(1981年、1着賞金6500万円)からは4倍以上となって、夢のような金額になりましたね。当時からJCは、日本ダービー、有馬記念(ともに1着賞金6500万円)と並ぶ高額賞金のレースでしたが、現在では、日本ダービー、有馬記念(ともに1着賞金2億円。※来年から有馬記念は3億円)を上回って、不動の国内最高賞金レースとなっています。

 そんなビッグレースながら、今年は日本馬のラインナップが、昨年に比べると少し落ちるような気がします。

 昨年は、世界一の称号を持つジャスタウェイをはじめ、JC連覇中のジェンティルドンナ、直前の天皇賞・秋を豪快に差し切ったスピルバーグに、前年の菊花賞馬エピファネイアや、天皇賞・春を連覇したフェノーメノ、さらに3歳勢からは桜花賞馬のハープスター、皐月賞馬イスラボニータに、ダービー馬ワンアンドオンリーと、トップホースがズラリと顔をそろえた超豪華メンバーでした。

 それが今年は、そうした実績を持つ馬が、ゴールドシップ(牡6歳)、ラブリーデイ(牡5歳)、そして3歳牝馬のミッキークイーンくらいしかいません。まして、準オープン(1600万条件)を勝ったばかりの、ジャングルクルーズ(せん6歳)やショウナンバッハ(牡4歳)が出走できてしまうのですから、実際に現在の古馬王道路線はそれだけ"層が薄い"のかもしれませんね。

 その中で、実績ナンバー1となるのは、出遅れ癖のあるゴールドシップ。ファンが多い馬ですから常に人気となりますが、不安が尽きない馬です。近年では、ルーラーシップが出遅れ癖を抱えたまま、最後まで治らずに関係者は苦労していました。練習すれば必ず治るというものでもないですし、今回のゴールドシップもやはり心配はあります。

 また、ゴールドシップというと、東京コースのイメージがありません。力は間違いなく、日本馬で最上位。まともに走れば、あっさり勝ってしまうかもしれませんが、"馬券検討"という意味では、軸にするにはリスクが大きいと思います。

 一方、先の天皇賞・秋(11月1日/東京・芝2000m)を制したラブリーデイは、完全に本格化した印象です。

 その前走の天皇賞・秋は、本当に強い競馬でした。好位につけられる器用な脚があって、GOサインにも即反応して一気に抜け出せる決め手があります。しかも、それを持続する能力まで持ち合わせていて、まさに安心して見ていられる馬ですね。

 とすれば、中心になり得る存在だと思うのですが、前走が余りにも鮮やか過ぎて、逆に今回までのオツリ(余力)が残っているのかどうか、という不安がないわけではありません。それに、実はラブリーデイにとっては、距離が少し長いような気がするんです。

 今春の阪神大賞典(6着。3月22日/阪神・芝3000m)や天皇賞・春(8着。5月3日/京都・芝3200m)、そして昨年のアルゼンチン共和国杯(5着。2014年11月9日/東京・芝2500m)など、最後、伸びそうで伸びませんでした。その内容が、どうしても距離が原因のように思えたのです。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る