【競馬】父母は18冠。「2億4000万円の血統馬」ロイカバード

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2015年版)
第20回:ロイカバード

 近年、日本競馬の国際化は急速に進み、トップクラスの競走馬たちが、日本から海外へ、海外から日本へと頻繁に行き来するようになった。それは、引退後のサラブレッドも同様で、現役時に日本で活躍した馬が、海外に輸出されることもあれば、反対に、世界的名馬が競走生活を終えて、日本へとやって来ることも珍しくない。

 日本で繁殖生活を送っているアゼリ(牝)も、その代表的な一頭。同馬は、2000年代前半にアメリカで活躍した伝説的な名牝である。GI通算11勝という驚異の成績を残し、アメリカ競馬の殿堂入りも果たしている。

 そんな名牝がなぜ日本にやって来たのか――。実は、2004年に現役生活を終えたアゼリは、そのままアメリカで繁殖入りするが、2009年、アメリカにおける繁殖牝馬のセリ市に出されたのだ。そしてその場に訪れていた、日本を代表する大牧場のノーザンファーム代表・吉田勝己氏が落札した。落札額は、225万ドル(当時のレートで約2億250万円)だった。

2億4000万円で落札された高額馬ロイカバード。デビューに向けて着々と準備が進んでいる。2億4000万円で落札された高額馬ロイカバード。デビューに向けて着々と準備が進んでいる。 そのアゼリの子が、今年の2歳馬の中にいる。ロイカバード(牡2歳/父ディープインパクト)である。2013年、国内最大級の競走馬セリ市「セレクトセール」に上場され、その年の最高額となる2億4000万円で落札された馬だ。

 ロイカバードは、ノーザンファーム空港牧場(北海道)にてデビュー前の育成を行なってきた。担当した細田誠二氏は、4月時点で、同馬の育成過程をこう振り返っていた。

「育成は順調にきました。気性はよくて、走りも前向き。扱いやすく、特に苦労したことはありません。最初は(馬体が)小さくて、華奢(きゃしゃ)なイメージもありましたが、調教のペースが上がってくると、父ディープインパクトの産駒らしく、丸みのある馬体になりましたね」

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