【競馬】小牧場に3つ目の勲章をもたらしたクラリティスカイの半生

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

『パカパカファーム』成功の舞台裏
連載●第49回

5月10日に行なわれたGI、NHKマイルC(東京・芝1600m)。3歳のマイル王を決めるこの戦いを制したのは、パカパカファーム生産のクラリティスカイ(牡3歳)だった。今回は、幼い頃から同馬を見てきたスタッフの話とともに、GI制覇の"内幕"を紹介する――。

NHKマイルCを快勝したクラリティスカイ。NHKマイルCを快勝したクラリティスカイ。 1996年の創設以来、今年で20回の節目を迎えたNHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)。3戦3勝の無敗馬アルビアーノ(牝3歳)や、新潟2歳S(2014年8月31日/新潟・芝1600m)を制したミュゼスルタン(牡3歳)ら、粒ぞろいのメンバーがそろう中、パカパカファームで生産された馬も優勝候補に名を連ねていた。クラリティスカイ(牡3歳)である。

 クラリティスカイは昨年の2歳時に、新設重賞のいちょうS(2014年10月11日/東京・芝1600m)を制覇。2歳のコースレコードを塗り替える好内容で重賞ウィナーとなった。その後も、GI朝日杯フューチュリティS(2014年12月21日/阪神・芝1600m)で3着と好走するなどして、翌春のクラシック戦線の、有力馬の一頭として注目された。

 年が明けて3歳になってからも、GII弥生賞(3月8日/中山・芝2000m)こそ6着に敗れたが、続くクラシック第1弾のGI皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)では5着に奮闘。スタートから先手を奪う積極策で粘り込んで存在感を示した。しかしその後、クラリティスカイは距離適性を考慮。GI日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)ではなく、3歳マイル王を目指して、NHKマイルCに矛先を変えることとなった。

 パカパカファームの代表を務めるハリー・スウィーニィ氏をはじめ、牧場スタッフもこの陣営の判断には「賛成」だったという。その分、期待が膨らんだ牧場内では、レースが近づくにつれて独特の緊張感が漂い始めていた。パカパカファームのオフィスマネージャー・山田恵美さんが、その様子を教えてくれた。

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