【競馬】皐月賞、名手騎乗のベルーフが実力馬の間隙を突く

4月特集 春競馬、クライマックス(12)

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 牡馬クラシックの第1弾、皐月賞(中山・芝2000m)が4月19日に開催されます。今年は2歳戦の重賞が増設された影響で、「(出走可能な)賞金のボーダーラインが高い」と早いうちから言われていましたが、最終的にはフルゲート(18頭)に満たない、15頭での争いになりました。

 もしもこのことが早くからわかっていれば、トライアル戦などを無理して使わず、違ったローテーションを組んでいた陣営もいたでしょう。また、皐月賞への登録を「早々に諦めることはなかったな」と後悔している陣営などもあるかもしれません。勝負事というのは、こういうところでも明暗を分けることがあるんですから、面白いものですね。

 さて今回、まず注目は、サトノクラウン(牡3歳)でしょう。本番と同じコースで行なわれたトライアルの弥生賞(3月8日/中山・芝2000m)を快勝し、1番人気が濃厚です。

 正直なところ、弥生賞の前までは、その実力については半信半疑でした。"出世レース"と言われる東京スポーツ杯2歳S(2014年11月24日/東京・芝1800m)を制して、2戦2勝だったとはいえ、その実績はあくまでも東京コースでのもの。弥生賞では、初の中山コース、さらに休み明けという点が懸念されました。そのうえ、スタートに不安を抱えるなど、他にも課題が多く、「どんな競馬をしてくれるのか」と期待しつつも、思わぬ凡走もあるのではないか、という見方をしていました。

 それが、ふたを開けてみれば、サトノクラウンの圧勝。すべての不安材料を払拭する完勝劇を披露し、(クラシックに向けて)まさに王道中の王道を歩んでの3戦3勝という快挙を遂げました。

 気がかりな部分を挙げれば、もちろん今回もあります。少し首の高い走法や、鞍上が初騎乗の騎手に替わることです。しかしその走法で、実際に中山・芝2000mという舞台で結果を出しました。それも、重賞勝ち馬が7頭も出走し、本番さながらのメンバー構成で出した結果です。本番でも、走法に関して、それほど心配することはないでしょう。

 鞍上に関しても、初騎乗とはいえ、手綱をとるのは、数多くの経験を持つC・ルメール騎手。それなら、まず問題はなく、有力候補の一頭であることは間違いないと思います。

 一方、中山で行なわれたもうひとつのトライアルレース、スプリングS(3月22日/中山・芝1800m)組も無視できません。というのも、本番より距離は200m短いのですが、本番までの間隔が近いこともあって、過去10年で4頭もの勝ち馬を出すほど、皐月賞への関連性が深いからです。そして、その4頭すべてがスプリングS1着馬ですから、今年はキタサンブラック(牡3歳)に注意が必要でしょう。

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