【競馬】ルメール騎手の志「日本の馬で新たな歴史を創りたい」

  • 新山藍朗●取材・文 text&photo by Niiyama Airo

3月特集 アスリートの春 ~卒業、そして新天地へ~(6)

世界的なトップジョッキーである、フランスのクリストフ・ルメール騎手(35歳)がJRA(日本中央競馬会)の騎手免許を取得。今年から、日本を主戦場とすることになった。競馬先進国フランスで活躍する彼が、なぜ今、日本で戦うことを決断したのか。そして彼は、日本でどんな野望を持っているのか、直撃した――。

――JRAのジョッキーになって、いよいよデビュー、という矢先に騎乗停止の処分を受けました()。まずそのことについて、どう受け止めているか、お聞かせください。
※騎乗予定(3月1日)のあった前日、外部との連絡が禁じられている競馬場の騎手調整ルーム内で、携帯電話を使用して外部と通信(ツイッター)していたことが判明。30日間(3月1日~30日まで)の騎乗停止となった。

「JRAが定める重要なルールを破ってしまったわけですからね、言い訳のしようがありません。完全に僕のミスです。今回はそのことで、多くの関係者の方々に迷惑をかけてしまいました。この場を借りて、改めて謝罪したいと思います。そして、ファンのみなさんの期待を裏切ってしまったことについても、心から謝りたいと思います。この分は、4月からの競馬でがんばって、少しでも(信用を)取り戻していきたい」

――それにしても、競馬の本場、欧州のトップジョッキーであるルメール騎手が、母国フランスの騎手免許を返上してまで、JRAの騎手免許を取得したことについては、本当に驚かされました。やはり、2010年からフランスにおける主戦を務めてきた、アガカーン殿下(世界的な競走馬のオーナー)との契約が切れたことがきっかけになったのでしょうか。

「確かに、アガカーン殿下との契約が切れていなければ、たぶん日本には来ていなかったでしょうね。でも、日本で騎手免許を取得した理由は、それだけではありません。僕は、そもそも日本が好きで、機会があれば、短期免許ではなく、1年を通して日本で騎乗したいと、以前から思っていました。それが、JRAのルール改正で可能になったことも、理由のひとつです。また、僕は今35歳ですが、何か新しいことを始めるには、とてもいい年齢だと思ったんです。そのように、いくつかの要因がタイミングよく重なって、やるなら『今しかない』と思って、『日本に行こう!』と決断しました」

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