【競馬】バージョンアップした「2歳王者」ダノンプラチナ (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

 ダノンプラチナを管理する美浦トレセン(茨城県)・国枝栄厩舎のスタッフは、これまでの戦いを振り返って「レースを使いながら成長してきた」と語ったという。その詳細を、関東競馬専門誌のトラックマンが伝える。

「昨夏のデビューの時点では、『まだトモ(後肢の付け根)に緩さがあり、成長途上』という声がスタッフから聞かれました。しかし、2戦目のあたりからトモがパンとしてきたようで、徐々に陣営の評価が上がってきていました。実際、3連勝の内容もレースごとによくなっていましたよね。

 朝日杯FSを勝ったあとは、放牧に出して、2月に厩舎に戻ってきました。『前は馬房でイライラすることがあったけど、帰ってきてからは落ち着いている』とのこと。ダノンプラチナは、精神的にも成長しているみたいですよ」

 全4戦で手綱をとってきた蛯名騎手も、これまで何度か、ダノンプラチナの「テンションの高さ」を指摘していた。その課題が解消されたとなれば、今後に向けてますます期待が膨らむ。

 ただ、ダノンプラチナには、精神面以上に気になる問題がある。距離適性だ。3連勝を飾ったレースはすべてマイル(1600m)戦。2000mの皐月賞でも、同様の能力が発揮できるのか、一抹の不安が残る。が、陣営からは「距離延長にも対応できそう」との声が聞こえるという。前述のトラックマンが説明する。

「陣営としては、これまでの感触から『2000mの皐月賞まではこなせる』という手応えを得ているようです。それでも、その先の日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)については慎重な様子。『スプリングSや皐月賞でのレースぶりを見てから決めたい』と話しています。もしそれらのレースで、ゴール前で脚が鈍ったり、スタミナ面で苦しそうな様子を見せたりすれば、無理せずにNHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)へと進む選択肢もあるみたいですよ。もちろん、何ら問題がなければ、ダービー参戦ということになるでしょう」

 GIの勲章を得たあと、満を持して春のクラシック戦線に臨むダノンプラチナ。距離延長だけでなく、強力なライバルたちが台頭する中、"2歳王者"として変わらぬ強さを見せることができるのか。まずは、復帰戦となるスプリングSを注視したい。

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