【競馬】ウオッカら希代の女傑に継ぐ「大器」ルージュバック

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

2015年クラシック候補たち
第3回:ルージュバック

 関西で開催される前哨戦の中では、クラシックに通じるレースとして、毎年注目を集めているGIIIきさらぎ賞(2月8日/京都・芝1800m)。今年も、三冠馬オルフェーヴルの全弟であるアッシュゴールド(牡3歳/父ステイゴールド)をはじめ、女傑エアグルーヴを祖母に持つポルトドートウィユ(牡3歳/父ディープインパクト)、母がGI3勝のスイープトウショウというレガッタ(牡3歳/父ディープインパクト)など、話題の素質馬たちが集結した。

 8頭立ての小頭数とはいえ、そうそうたるメンバーがそろう中、レースを制したのは、牝馬のルージュバック(牝3歳/父マンハッタンカフェ)だった。道中、スムーズな走りを見せて直線に向かうと、好位から強烈な末脚で抜け出して、並み居る良血牡馬たちを一蹴。デビューから無傷の3連勝を飾って、牡馬を含めた3歳世代の"主役"に躍り出た。

牝馬クラシックの「主役」を張るルージュバック。牝馬クラシックの「主役」を張るルージュバック。 ルージュバックを所有するキャロットファームの永島一樹氏は、同馬のデビューまでの過程をこう振り返る。

「母のジンジャーパンチは、それまでに2頭の牝馬を生んでいました。どちらも素質はありましたが、体質の弱さが響いて出世できませんでした。ルージュバックも最初は線が細く、そういった面の不安がなかったと言えば、嘘になります。しかし、ゆっくりと育成する中でグッと良くなってきましたね。昨年の春くらいから変わり身を見せて、デビュー戦、2戦目と素晴らしい勝ち方をしてくれました」

 母ジンジャーパンチは、アメリカのダートGIを5勝もした名牝。当然、その子どもたちは初仔から期待を集めていたが、最初の2頭は光るものがありながら、体質的な問題で活躍できなかったという。しかし、そこで得た育成スタッフの経験が、3番仔のルージュバックを育てる際に生かされたのだろう。同馬はデビューから圧巻のパフォーマンスを発揮して連勝。キャリア3戦目には、51年ぶりという牝馬によるきさらぎ賞制覇を決めたのだ。

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