【競馬】名牝ジェンティルドンナがJCの借りを有馬で返す!

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu

有馬記念「フィナーレを彩る」実力馬(3)
ジェンティルドンナ編

 3年に渡って咲き誇った華が、いよいよ見納めの時を迎える。有馬記念で引退予定のジェンティルドンナ(牝5/石坂正厩舎)が3年間の競走生活で残してきた足跡は、GI競走6勝という数字には収まらない、これまでの日本の競走馬の規格を大きく超えるような輝きを放つものだった。

ジャパンカップ時のジェンティルドンナ。 中山競馬場を走るのは最初で最後だジャパンカップ時のジェンティルドンナ。 中山競馬場を走るのは最初で最後だ

 最初に光を放ち始めたのは、3歳の初め。12月に未勝利戦(京都芝1600m)を勝利し、続いて臨んだシンザン記念(GIII、京都芝1600m)でいきなり難なく重賞勝利を挙げる。歴史に大きく名を残す三冠馬の名を冠したレースを勝利したことは、その後の偉業を予感させるものだった......と言いたいところだが、この時点では実は主役が他にいた。

 ひと世代前の名牝ブエナビスタを姉に持ち、自身1戦1勝で阪神ジュベナイルフィリーズ(GI、阪神芝1600m)を制したジョワドヴィーヴルだ。前年の有馬記念を最後に引退したブエナビスタからのバトンは、その3つ下でディープインパクトを父に持つ半妹に引き継がれたというのが、衆目の一致した意見だった。

 しかし、"名牝"のバトンを託されていたのは同じディープインパクト産駒のジェンティルドンナの方だった。競馬の運命の女神は時に慈悲深く、時に無慈悲だ。主役の座を追われたジョワドヴィーヴルは、その後1度も勝つことなく、4歳春に非業の最期を遂げる。
 

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