【競馬】毎日王冠、厩舎に勢いある3歳馬が波乱を起こす

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 中山競馬場の改修工事による新潟開催が終了。いよいよ舞台は首都圏に移って、東京競馬場での開催がスタートします。

 開幕週の目玉は、毎日王冠(10月12日/東京・芝1800m)です。例年、秋の大きいところを目指す面々がここから始動することもあって、僕が現役時代の頃も、毎日王冠が近づくにつれて取材する記者の数が増加。トレセン内がせわしい雰囲気になり始めるので、「本格的に秋競馬が始まったな」という感覚になったものです。

 そして、今年もこの秋を占う好メンバーがそろいました。凱旋門賞に挑んだジャスタウェイ(牡5歳)やゴールドシップ(牡5歳)といった超一線級の出走はありませんが、ハイレベルな戦いが期待されます。

 まず注目は、屈腱炎(くっけんえん/競走馬にとって「不治の病」と呼ばれる脚部の病気)から復活し、今春の競馬を盛り上げたワールドエース(牡5歳)です。2年前の日本ダービー(4着。東京・芝2400m)では1番人気に推されたほどの馬で、相当な"器"の持ち主です。

 なにしろ、その日本ダービーも「勝てなかったのは1番人気だったこと」、それだけが理由と言ってもおかしくないレースでした。最後は強烈な差し脚を見せましたが、人気馬ゆえに正攻法の競馬に徹したことで、早めに抜け出した馬を捕らえ切れませんでした。内容的には勝ち馬をしのぐモノだったと思います。

 その前の皐月賞(2着。中山・芝2000m)も同様です。大外を強襲した末脚は、次元が違っていました。コース取りの差で内をすくったゴールドシップに出し抜けを食らいましたが、もっとも強い競馬を見せたのはワールドエースでした。ほんの少しの運さえあれば、二冠馬だったかもしれません。勝負の世界で「たら」「れば」は禁物ですが、ワールドエース自身の能力がGI級であることは間違いないと思います。

 およそ1年8カ月ぶりに復帰した白富士S(5着。2月1日/東京・芝2000m)は、いかにも長期休養明けという負け方でした。しかし、続くマイラーズC(4月27日/京都・芝1600m)では好位から抜け出す圧巻の勝利。しかも、コースレコードというおまけ付きでした。

 その内容から、次なるGIの舞台、安田記念(6月8日/東京・芝1600m)への期待が膨らみましたが、結果は5着。出走17頭中、大外の17番枠だったことに加え、得意とは言えない不良馬場が影響したのでしょう。ディープインパクト産駒らしく決め手勝負のタイプだけに、緩い馬場ではその武器を存分に発揮することができませんでした。またしても、運がなかったように思えます。

 その後は休養して、秋はここが始動戦。開幕馬場の東京競馬場はワールドエースの能力を出し切る絶好の舞台です。鞍上も、2012年のきさらぎ賞(京都・芝1800m)で手綱をとって、同馬に初の重賞タイトルをもたらした小牧太騎手。結果を出すための要素は整っています。このあとの大舞台での活躍を匂わせるような快走を、ぜひ見せてほしいですね。

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