【競馬】札幌記念ワンツー、悲願の凱旋門賞制覇へ視界よし!

  • 土屋真光●取材・文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • 千葉 茂●写真 photo by Chiba Shigeru

 日本競馬悲願の凱旋門賞(10月5日、フランス・ロンシャン競馬場・芝2400メートル)制覇へ、もやのように目の前を覆っていた不安要素が誰もが予想をしなかった形で取り除かれ、一気に視界が開けた。

健闘を称え合うハープスター号(左)とゴールドシップ号(右)健闘を称え合うハープスター号(左)とゴールドシップ号(右) 宝塚記念の圧勝によって挑戦を具体化させた"クセ者"ゴールドシップ(牡5、須貝尚介厩舎)と、早くから凱旋門賞挑戦を明言していた"キレ者"ハープスター(牝3、松田博資厩舎)が、遠征前の国内での前哨戦としてGII札幌記念(8月24日、札幌競馬場)に出走。今夏、新装オープンを迎えた札幌競馬場には、全国から46000人を超えるファンが詰め掛けた。スタンドはまるでGIのように立錐(りっすい)の余地がない。ただでさえ早くも実現した夢のマッチアップであることに加え、それが世界最高峰に向けてのステップなのだから、この盛り上がりは必然と言えるだろう。

 2頭のうちのどちらが勝つのか。前哨戦なのだから、必ずしも負けられないレースではない。しかし、2頭がお互い以外の後塵を拝するようでは、凱旋門賞を勝つなどもってのほかだ。ゴールドシップは「気分が乗らないと走らない」という気性面、ハープスターは強烈な末脚と表裏一体である直線大外一気のワンパターンという展開面の課題があった。前走の宝塚記念で、新たにコンビを組んだ横山典弘騎手に導かれて、気性面の克服を見せたかに見えたゴールドシップが、実績のあるコース適性もプラスに働くと見られ、戦前の下馬評では上位。一方のハープスターは小回りコースが、この馬の持ち味を殺すと見られ、加えて調整過程でも落鉄があるなどして不安要素も見られたことから、自身初めての2番人気でスタートを迎えた。

 レースはどよめきで始まり、大きな驚きと喝采で幕を閉じた。

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