【競馬】高松宮記念、期待は「モノが違う」レディオブオペラの逆襲

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 春のGIシリーズの訪れを告げる高松宮記念(中京・芝1200m)が3月30日に開催されます。

 2012年に中京競馬場がリニューアルされて、今年で3回目の高松宮記念。過去2回の勝ち馬は、カレンチャン(2012年)、ロードカナロア(2013年)と、いずれも前年のスプリンターズS(中山・芝1200m)優勝馬でした。しかも、ともにスプリント界を代表するスターホースです。わずか2回の実績だけで断言はできませんが、この顔触れからして、リニューアル前のコースと比べると、勝利馬になれる条件は変わってきているように思われます。

 なにしろ、以前の中京競馬場は、平坦で直線が短かったため、高いスピード能力を持っていれば、それだけで押し切ることもできました。しかし今や、直線が長くなり、坂もできたことで、スピードだけでは勝負できなくなってきているからです。勝つためには、終(しま)いの伸び脚をためられる気性、そして秀でた決め手も求められていると思います。

 今年の出走メンバーの中で、そうした力が備わっていると思われるのは、まずハクサンムーンです(牡5歳)。昨年の高松宮記念(3着。2013年3月24日)、そして昨秋のスプリンターズS(2着。9月29日)でも、「絶対王者」ロードカナロアに肉薄しています。その実績からしても、有力な存在と言えるでしょう。

 ハクサンムーンのあわや逃げ切り勝ちか、と思われた前年のレースは、テンの3ハロン(スタートから最初の600m)が34秒3という、スプリントGIでは通常あり得ないほどのスローペースでした。おかげで、ハクサンムーンは前半、五分の力で走れていたと思います。最後は勝ったロードカナロアと、2着ドリームバレンチノにかわされてしまいましたが、持ったまま直線の坂を上って、上位2頭と際どい勝負を演じられたのは、前半で余力(脚)をためられたからでしょう。

 その後、ハクサンムーンはアイビスSD(7月28日/新潟・芝1000m)を快勝し、秋初戦のセントウルS(9月8日/阪神・芝1200m)では、ロードカナロアを撃破しました。そして、スプリンターズSではロードカナロアに屈しましたが、レースは遅い流れだった高松宮記念とは一転、テンの3ハロンは32秒9、1000m通過が55秒2という超ハイペースでした。そんな、並みの馬ではとても息を入れることなどできない速い流れを自ら作って、ロードカナロアにコンマ1秒差の2着。その競馬の価値は非常に高く、速いペースで逃げても脚をためられる能力があることを証明しました。高松宮記念を勝てる馬の条件を満たしていると言えるでしょう。

 唯一懸念されるのは、前走のオーシャンS(3月8日/中山・芝1200m)での大敗(13着)です。負けるにしても、負け過ぎの感がありました。それでも、昨年も高松宮記念の前に、同レースで9着と完敗しています。あくまでも、オーシャンSは"叩き台"ということでしょう。また、逃げ馬というのは、ちょっとしたことで惨敗することがよくありますし、今年の時計のかかる中山の馬場が合わなかったのかもしれません。あまり気にしなくてもいいと思っています。

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