【ボクシング】減量失敗に王座返上。度重なる愚行に物申す

  • 原功●文 text by Hara Isao photo by Getty Images

 8人もの世界チャンピオンを擁し、華々しく新しい年を迎えた日本のボクシング界。だが一方、亀田大毅の「IBF王座問題」も、解決しないまま越年してしまった。WBA王者リボリオ・ソリス(ベネズエラ)とのスーパーフライ級王座統一戦で、体重超過のソリスに判定負けを喫しながらも大毅が王座に留まったという一件である。遠からず決着をみそうな気配だが、そもそも、問題の大元(おおもと)がソリスの体重オーバーにあることを、私たちは忘れてはなるまい。

減量に失敗したリボリオ・ソリス(左)が勝利するも、負けた亀田大毅(右)は王座に留まった減量に失敗したリボリオ・ソリス(左)が勝利するも、負けた亀田大毅(右)は王座に留まった 近年、このような減量失敗というケースは、ソリスだけではない。タイトルマッチであるにもかかわらず、規定体重をつくれずに王座を剥奪されるチャンピオンが決して少なくないのである。また、苦労して世界戦という大舞台に辿り着いたのに、計量で失格となる挑戦者もいる。昨年4月以降の約8ヵ月間だけでも、計7人が失態を演じているのである。

 そもそも、亀田大毅が昨年9月の決定戦を経て手に入れたIBFのスーパーフライ級王座も、前王者が防衛戦で体重オーバーとなり、剥奪されたものだった。減量失敗の多くは、試合直前の減量期に体調を崩して体重を落とし切れなかった場合がほとんど。しかし、なかには前日計量で3.7キロもオーバーした不届き者もいた。こうなると、減量失敗というレベルではない。体重制の根幹を揺さぶる重罪と断じてもいい。彼らが世界王座の価値を著しく貶(おとし)めているのは明白だ。

 また、周囲が苦労してチャンスを作ったにもかかわらず、挑戦者が規定体重を守れなかったケースも、信じがたい愚行といえる。昨年10月、スーパーミドル級王座に挑戦するはずだったエドウィン・ロドリゲス(ドミニカ共和国/アメリカ)は計量で失格したうえ、報酬の10分の1に相当する10万ドル(約1050万円)の罰金を払ってリングに上がったが、大差の判定負けを喫した。「彼にはプロとしての自覚がない。失望した」と自陣スタッフまで呆れていたが、これはそのままファンの声といってもいいだろう。

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