【競馬】スロー必至の菊花賞。本命エピファネイアの逆転候補はいるか

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 3歳牡馬クラシックの三冠最終戦となる菊花賞が10月20日に開催されます。

 舞台は、京都の外回り芝3000m。スタートしてすぐに3コーナーがあり、そこから4コーナーまで一気に坂を下っていきます。そしてそのまま一周目の直線、大観衆が待ち受けるスタンド前に向かいます。毎年、そこで引っかかっている馬を見るように、とにかくジョッキーにとっては、馬の折り合いをつけるのが大変なコースです。

 その折り合いをいかにつけるかが勝敗のカギになりますが、距離が長くなればなるほど、"どの馬が逃げるのか"ということも、重要なポイントになります。要は、逃げ馬が必然的にレースの流れを作るからです。特に長距離戦の場合、逃げ馬のタイプによって、展開も、流れもガラッと変わるため、レースの行方を占ううえでは、見逃せない存在です。

 逃げ馬の場合、基本的に騎手はなるべくスローペースに落として、脚をためようと心掛けます。中にはハイペースで逃げたほうがいい馬もいますが、長い距離のレースでは稀(まれ)です。

 第一、スローペースのほうが、逃げ馬にとってはメリットがあります。後方の馬が折り合いをつけるのに苦労して、スタミナを奪われてしまうからです。そのうえ、馬群が密集してごちゃつくようだと、後方の馬たちは他の馬にぶつかったり、折り合いを欠いた馬に釣られて引っかかったりして、余計にスムーズさを欠いてしまいます。僕も現役のときに、フルゲートの多頭数になった2000mのレースで、前半1000mの通過タイムが65秒(平均は60秒前後)という超スローの競馬を経験しましたが、身動きがまったくとれずに苦労しました。つまり、そういう状況になればなるほど、逃げ馬にとって理想的な展開と言えるでしょうね。

 そこで今年の菊花賞ですが、出走メンバーを見渡すと、おそらく松田大作騎手が騎乗するバンデ(牡3歳)が逃げそうです。仮に抽選を突破してきたネコタイショウ(牡3歳)が競り掛けてきてもハナは譲らないでしょう。それにバンデは、自分のペースで逃げるタイプの馬なので、超スローにもならないと思います。全体的には普通のスローペースで流れるのではないでしょうか。

 ただし今回は、他の馬の動きを左右するほどの中心的な存在、エピファネイア(牡3歳)がいます。同馬は折り合いに課題があるため、ライバルたちがエピファネイアの力を封じ込めようとしてペースを落とせば、先頭に立つバンデより後方は、超スローペースになる可能性があります。そうすると、逃げるバンデは軽視できなくなりますね。

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