【競馬】凱旋門賞、現地メディアが語るオルフェ&キズナの「勝算」

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 現地9月15日、フランスのロンシャン競馬場で行なわれたGⅡニエル賞(3歳限定)で日本ダービー馬のキズナ(牡3歳)が、GⅡフォワ賞(4歳以上)では日本最強馬のオルフェーヴル(牡5歳)が勝利。この凱旋門賞(現地10月6日/フランス・ロンシャン)の前哨戦の結果は、昨年のフォワ賞でオルフェーヴルが遠征初戦を快勝したとき以上に、地元フランスだけでなく、世界中の競馬シーンに大きな衝撃をもたらした。

前哨戦のフォワ賞を圧勝したオルフェーヴル。本番では昨年の雪辱を期す。前哨戦のフォワ賞を圧勝したオルフェーヴル。本番では昨年の雪辱を期す。
 まず敏感に反応したのは、欧州各国の大手ブックメーカーだ。前哨戦の前までは、同じロンシャンで行なわれたGIパリ大賞典(7月13日/芝2400m)を制した地元フランスのフリントシャー(牡3歳)が1番人気(5倍前後)で、欧州各国のGIを4連勝中のノヴェリスト(牡4歳/ドイツ)が6倍前後で続き、7倍前後のオルフェーヴルが3番人気だった。そしてキズナは、15~17倍で8~10番人気といったところだった。

 それが、前哨戦の結果を受けて、2頭の評価が急上昇。キズナは、7~8倍までオッズが上がって、4番人気までジャンプアップした。さらに強烈なのは、オルフェーヴルだ。各ブックメーカーが軒並み3.5倍見当のオッズをつけて1番人気に躍り出た。イギリス大手のラドブロークス社に至っては、2倍という超ド本命のオッズをつけた(オッズは、9月27日現在のもの)。

 2006年、ディープインパクトが凱旋門賞に挑戦した際には、ロンシャン競馬場に大挙して日本のファンがやってきた。彼らが「記念に」と単勝馬券を大量購入したこともあって、発走直前のディープインパクトのオッズが1倍台になる珍事が起こった。しかし今回の数字は、"お土産"でも社交辞令でもなんでもない。出走回避などの不確定要素がまだまだ多いこの時期、オルフェーヴルの2倍というオッズは異例のこと。昨年も、レースを翌週に控えて、有力馬が相次いで出走を取り止めたことは記憶に新しい。それを踏まえれば、このオッズがいかに高い評価の表れなのかがわかる。

 また、欧州の大手競馬メディアも、盛んに日本馬2頭の話題を取り上げている。とりわけ、オルフェーヴルに関しては、レース翌日だけでなく、その後もかなりの紙面を割いている。イギリスの最大手レーシングポスト紙では、9月25日に行なわれたオルフェーヴルの1週前追い切りの様子を、翌日の紙面で大々的に報じていた。

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