競馬&格闘技ボクシング

【ボクシング】スーパーバンタムで復活ののろし。
長谷川穂積「俺がボクシングを続けるワケ」

2012.12.20

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro 作田祥一●撮影 photo by Sakuta Shoichi

すでに2階級を制覇している長谷川穂積。その視線の先には何が見えているのか 長谷川穂積には、ずっと探していたものがある。

 正確に言えば2010年11月26日、ファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)に判定勝ちしてWBC世界フェザー級王座を獲得し、飛び級での2階級制覇を成し遂げた2年前から。

 遡(さかのぼ)ること7ヵ月前の2010年4月、長谷川はフェルナンド・モンティエル(メキシコ)に敗れ、10度防衛したWBC世界バンタム級王座から陥落していた。再びリングに立つ理由は、明確であり、唯一無二だった。

「もう一度、リングに立つ姿を見たい」

 そう願う闘病中の母のため。だが、残酷な運命は、それを許さなかった。ブルゴス戦の1ヵ月前、最愛の母は逝った。それでも長谷川は、「見ててね」とリングに立ち、フェザー級のベルトを奪取。

 そして、空っぽになった――。

 母の死を受け入れる間もなく、さらに東日本大震災という悲劇も起こった直後の2011年4月、ジョニー・ゴンサレスとの防衛戦を迎え、4ラウンド、あっけなくリングに沈む。試合後、過去に一度も敗戦の言い訳を語ったことのなかった男は言った。

「リングに立つ理由が、最後まで見つけられなかった」

 何のために戦うのか? なぜボクシングをするのか? 以来、ジムから足が遠のいたこともあった。長谷川は自身の中にかすかにくすぶる、モチベーションの火種を探し続けた。そして、ゴンサレスに敗れてから1年ぶりとなる今年4月、フェリペ・カルロス・フェリックス(メキシコ)との復帰戦を迎えた。試合前、長谷川は言った。

「リング上でボクシングの神様に聞いてみたい。『神様、俺は強いですか?』って」

 暗闇の中、前へ進むための道標(みちしるべ)が、名声でも、名誉でもないことは分かっていた。だから、「無観客試合でも構わない」と、自分が強いのか、弱いのか、ただそれを知るためだけにリングに立つことを決めた。

 しかし、その試合でTKO勝ちを収めたものの、長谷川の表情は冴えなかった。

「練習でやったことが5パーセントも出せていない。神様には、会えさえしなかった。現役続行か引退か、今は決められない」

 1ヵ月後、練習を再開した。だが、戦う理由を見つけたわけではない。

「太るのがイヤなんで。理由はホンマ、それだけですね。ボクシングを辞めても、1ヵ月経ったら毎日、走ると思います。シェイプのために。習慣ですから」

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